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ハモンドフェスティバル2011全国大会
最優秀賞無しも太田夕加里さんが優秀賞をダブル受賞(課題・自由曲両部門)

date 10月10日(月・祝) / place きゅりあん


 全国4地区の予選を通過されたオルガニストたちの祭典HAMMOND FESTIVAL 2011全国大会がきゅりあん小ホール(東京都品川区)において開催されました。今年度は課題曲部門より5名、自由曲部門より6名が選出され、熱演を披露されました。


課題曲部門トップバッターは、森島 奏音(かなね)さん(九州地区代表)。高校1年生ながらフランク・シナトラの歌唱で知られるゴージャスなナンバーを、やや遅めのテンポ設定で堂々と弾きこなす。遅くした分ごまかしがきかなくなるのだが、どうしたどうした、なかなかの貫録である。
(森島奏音  I've Got The World On A String)

続いて同じく九州地区代表の松尾由佳莉さんは、全国大会経験者ばかりの中で、たった一人の初出場。その緊張感は並大抵のものではないと思われるが、大人のBossa Novaを表現すべく健闘された。
(松尾由佳莉 Corcovado)

ようやく地元東日本地区代表の山中美央さんが登場。曲は本日2回目のI’ve Got The World On A String。全く落ち着いた軽快な演奏が続いていくが、いい意味での緊張感がふと途切れたのか、痛恨のミス。しかし中断することなく最後まで弾き切った。
(山中美央 I've Got The World On A String)

西日本地区代表、太田夕加里さんのCorcovadoは、若々しい感性で、そつなくまとめられている。近年メキメキと力をつけてきている彼女、演奏力には定評があるので、あと何年かすれば”アンニュイな雰囲気”を醸し出すこともできそうである。
(太田夕加里 Corcovado)

課題曲部門でもう一人の東日本地区代表、江尻明美さんも、Corcovadoを演奏。他の2人とは違ったアプローチで、さわやかなBGMといった趣の音楽を聞かせてくれた。アンニュイなBossaNovaとは少し違うが、これが意外に心地よく、それなりの完成を見ている
(江尻明美 Corcovado)

しばしの休憩の後、自由曲部門は田口豊大(とよひろ)さん(東日本地区代表)の演奏で再開する。両部門で最年少の中学1年生だ。以前から都会的、というよりは田舎くさい感じ(失礼!)の黒人音楽、といったものを得意とされているようで、本日の演奏も都会のFunkyよりはカントリーなFunkyといった感じ。しかしさすがに中学生になると子供っぽさは抜けてきており、大変成長を感じる音楽になっていた。
(田口豊大 Sweet Georgia Brown)

森島 奏音さん(九州地区代表)は課題曲部門とダブル出演。自由曲ではジョージ・シアリングの名曲、バードランドの子守歌をチョイス。幼少のころからこのコンクールにチャレンジして頂き、クラシック、ラテンと今まで様々な演奏を聞かせていただいたが、今年は課題曲・自由曲ともジャジーな楽曲に取り組んでいる。いわゆる”タメ”が足りない印象があるが、基礎的な演奏力があり、今後が期待される。
(森島奏音 バードランドの子守歌)

中部地区代表の加藤みなみさんは、何年かぶりの全国大会出場。実兄の加藤大知さんも全国大会経験者というハモンド兄妹。本日は観客席の人となっているお兄様や、お母様の熱い視線の中、いわゆる速弾きモノの定番、「TICO TICO」を、当たり前のように弾きこなす。
しかしそこは速弾きモノの難しさ、ヤマ場を作るのは難しそうだ。
(加藤みなみ TICO TICO)

さて、西日本地区代表の太田 夕加里さんが自由曲で再登場。課題曲のBossa Novaと打って変わって、マニュアルベースも軽やかなアップテンポ4ビートのナンバーだ。なかなか鮮やかなバッキングを聞かせていただいた。
(太田夕加里 Undecided)

今度は九州地区代表の赤司 江里奈さんが、どっしりしたノリの4ビートを奏でる。安定したテンポ感を表出し、曲名どおりののどかな雰囲気は彼女らしい。欲を言えば、もう少しメリハリが欲しい気がする。
(赤司江里奈On A Clear Day)

もう1名の西日本地区代表、片山 緑さんはモダンジャズの定番で、ジャズオルガンの世界でもジミー・スミスの十八番のひとつである名曲「チュニジアの夜」にチャレンジ。4ビートとアフロ調が切り替わる難しい構成を、よく表現された。
(片山緑 チュニジアの夜)

 今回も様々なスタイルの演奏を聞かせていただきプログラム的には充実していたが、どうしてもジャッジを下さねばならないのがコンクールのつらいところ。本年は課題曲・自由曲の2曲を高いレベルでまとめあげた西日本地区代表・太田夕加里さんが両部門での優秀賞を、次なる成長段階へさしかかったと思われる、東日本地区代表・田口豊大さんが努力賞を、難曲を取り上げ、健闘された西日本地区代表・片山緑さんが敢闘賞を受賞され、最優秀賞は該当者なしという結果になった。どの奏者もいわゆる縦横はそろっており、基本的な演奏力には引けを取らないのだが、『曲のスタイルに合ったグルーブ感を表出したうえでの、その人の個性を生かしたメロディーやアドリブフレーズの表現』、というところまでは行きつけなかったというのが正直な感想だ。


オープニング ゲスト

舩曳 民子さん HAMMOND FESTIVAL 2010 最優秀賞受賞

 今大会のオープニングを努めたのは前年度最優秀賞に輝いた西日本地区の舩曳民子さん。姫路市の楽器店などで後進の指導に当たって来た実力派である。
 今回演奏されたのは「上を向いて歩こう」と前年度受賞曲の「Walk On The Wild Side」の2曲。「上を向いて歩こう」は今年の春先、突然東日本を襲い、被災地のみならず全国に大きな傷跡を残した大震災を乗り越えていこうという思いから、選曲されたという。原曲のスィング調かと思いきや、軽快な8ビート。しかし舩曳さんの得意とする「黒っぽさ」が充分に表現されたファンキーでご機嫌な演奏だ。「Walk On The Wild Side」では昨年度の緊張感が抜けた分、まさにこの曲の野生−Wildなノリが活きている、地に着いた演奏を聞かせていただいた。(ご本人は楽屋裏で、「もっといい意味での緊張感を持つべきだったかな」と言っておられたのだが)これからも折に触れ、演奏を聞かせていただけたら、と思うのであった。


スペシャル ゲスト

粟井 童子

 表彰式を待つ間のひと時、楽しいトークを交えながら演奏していただいたのは、本部指導講師でもある粟井童子(わかこ)さん。札幌から東京へ移住されてから、かれこれ1年半。最近ではオーディションの審査などを中心に、東京でのお仕事もお願いしており、今回の出演依頼となった。普段、デュオやトリオでの演奏が多いとお聞きしているが、「本当はここで4バースでも演(や)れたらね」などとおっしゃりながら、ハモンドオルガンだけでお一人でどんどん世界を作っていく。あえて綿密な準備はされていない様子なのが粟井先生のステージの醍醐味だ。審査を終えた審査員の先生方も最前列に陣取り、久しぶりの邂逅の時間を楽しんでおられた。


 HAMMOND FESTIVAL 2011も関係者はじめ、皆様のご協力を賜り無事終了いたしました。出演いただきました皆様、ご指導いただきました先生方、ご家族の皆様のご厚意に深く感謝申し上げます。