ハモンド・スズキの日々是、口風琴 -きままにメロディオン-

ライブ告知板


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第3回「UooMoo【ほっこりどんどんぷぅー♪ 】」
2008年5月13日(火)
達人の妙技にびっくり!
UooMoo 【ほっこりどんどんぷぅー♪ 】

date 4月29日(火)/ place OHANA CAFE (練馬)
musician  夏秋文彦(メロディオン・他)Yuko(パーカッション)

 「メロディオンは子供だけのものじゃない。」 という思いからスタートしたこのコーナーですが、「これほどまでに道を究めているミュージシャンはいない。」 と驚かされたのが夏秋文彦さん。知る人ぞ知るメロディオンの達人です。


 今回お邪魔したのはUooMooのライブ、夏秋さんのメロディオンと民族楽器の達人Yukoさんとのデュオのステージです。夏秋さんが演奏しているのはPRO-37V2、ストラップを付けているのは両手を使って演奏するからです。 すでにお気づきの方は「えっ、両手・・? 」 と思われたことでしょうが、夏秋さんは黒鍵側から左手で演奏することができるのです。ピアニスト、オルガニスト、キーボーディスト、鍵盤を弾く人は数多といますが、反対側から弾けるのは限られているのではないでしょうか。そして、奇を衒った芸ではなく、音楽表現を追及するがゆえにたどり着いた奏法であること。時にベースの役割であったり、伴奏であったり、フレーズをサポートしたり、左手が入ることで変幻自在な演奏を可能としています。メロディオンは片手で弾く楽器という概念からも、2オクターブ以上も離れた音が一度に鳴るだけで驚きを覚えます。


 夏秋さんのお相手はYukoさん、フロア一面に広げられている民族楽器たち。しかし、よく見てみると鍋、釜、たらい、自転車の車輪など、打楽器ばかりではないようです。夏秋さんもYukoさんのジャンベに合わせて即興で音楽を作ります。情熱的なジャンベ、タイトなビートを刻むカホン、神秘的な響きのウドゥードラム(つぼ)、これらの楽器を根幹として様々なエフェクトを加えるYukoさん、夏秋さんのメロディオンに鮮やかな色彩を加えています。


 夏秋さんはメロディオンの他にもカリンバや口琴を演奏されます。カリンバは自身で調律されるほどのこだわり派、口琴も様々な国のものに精通されています。メロディオンとカリンバと口琴、奏法は異なりますが、偶然にもリードを鳴らしているという点では共通していますね。
 また、カリンバ、口琴のサウンドは素朴すぎるほど素朴なもので、聴いているだけで大自然に回帰していくような気持ちにさせてくれます。現代社会の中で忘れようとしている大地の音、風の音、木々の音、水の音、そんな当たり前の音を取り戻すかのように。


 夏秋さんのメロディオンは専用のマイクが取り付けられているのも特徴的です。このスタイルだと動きながらでもベストな状態で音を拾い、ピックアップと違って打鍵音も拾わないという優れものです。夏秋さんの奏でるリードの響きをやさしくサポートしています。
 美しい響きにうっとりしていると、夏秋さんの演奏に切れ目が無いことに気付きます。すなわち、ブレスによる音の空白が無いのです。鼻から息を吸いながら口から息を吐く、循環呼吸を会得されているのです。鍵盤を押している限り続くロングトーンは驚き以外に何者でもありません。メロディオンのサウンドを愛するあまりに会得された夏秋さんの妙技の数々、これは教育楽器という枠からメロディオンを開放するだけでなく、楽器としての原点に立ち戻る機会を私どもに与えていただきました。

第2回「うららアート」
2008年5月8日(木)
現代音楽って何だ ?
うららアート最前線vol.2


date 4月4日(金)/ place カフェ・パルル(名古屋)
composer  片岡裕介、坂野嘉彦、牛島安希子、高山葉子

 現代音楽っていうと変拍子や無拍子が多い、調性が感じられない、不協和音、微分音など、難解なことばかり、・・・ という先入観があって向き合うのには勇気がいりますね。しかし、そのような不安を取り除いてくれるのが東海地区に在住する4人の作曲家が開いたコンサート「うららアート最前線」。今回はP-ブロッのコンサートで知り合った牛島安希子さんから「名古屋でもメロディオンを使った活動をしていますよ。」とご紹介をいただき、お邪魔いたしました。


  オープニングは高山葉子さんのピアノ曲から、2曲目は坂野嘉彦さんの「正しい暮らし方第一集」。チェロ、ピアノ、リコーダー、打楽器という編成はそれぞれの役割がはっきりしており、楽曲を分かりやすいものにしています。そして、この楽曲の面白いところは「正しいリボンの結び方」「正しい雪ダルマの作り方」「正しい昆虫採集の仕方」など、小品それぞれに標題が付けられていること。愉快な標題が作品のコミカルさと結びつき聴いているうちに頬が緩みます。
 3曲目は同じく坂野さんの作品から「BPM」。マリンバとピアノのための楽曲です。マリンバを演奏しているのはNHK教育番組「あいのて」の黄色のあいのてさん、片岡裕介さんです。ドライブ感溢れる曲想に息を呑みます。


 休憩をはさんでの2部のスタートは3台の鍵盤ハーモニカのための「どくムシ。第二章」、高山葉子さんの作品です。「どくムシ」とは高山さんの妄想の中の生物、お花見の桜の木から落ちてきた毛虫のようなムシのけな気な生き様を描いています。鍵盤ハーモニカ特有の緩い音の立ち上がりがどくムシの緩慢な動きを感じさせています。バスからソプラノまで狭い音域の中でコミカルな音楽を造り、それぞれの主張が重なることで他の楽器では表しきれないほのぼの感を届けてくれます。


 2部の2曲目は片岡裕介さんの「指令と即興」。演奏者3名はイヤホンからの指令を受けて即興をおこなうというタイトルズバリの作品です。中央に座る片岡さんは風船やペットボトルなど鳴らす。牛島さんはメロディオン、坂野さんはクラリネット、それぞれに指令通りの音を出す。どんな音楽が造られるのか、それは指令を与えている片岡さんにも計算できるものではない。そして、演奏者も相手が何をしてくるかは分からない。常に同じ指令にシンクロさせられているだけである。


 その後、片岡裕介さんと野村誠さんの著作「音楽ってどうやるの」の紹介コーナー、コント仕立ての「なんちゃって音楽」を自ら演じて会場は大爆笑。そして、牛島安希子さんの弦楽四重奏「サンクチュアリ」、坂野嘉彦さんの「ヴィトゲンシュタイ、22才の春」で演奏会は幕を閉じます。
 冒頭でも述べたとおり、難解な音楽という印象は一切与えられず、音を通して作曲家たちの主張を素直に感じることができた演奏であった。彼らが決して難しいことをしたいのではなく、柔軟な発想で音楽を伝えようとしていること。そして何よりも、彼ら自身が聴衆の目線に立って演奏会を企画されたことが嬉しく思う。また、彼ら作曲家にとってメロディオン(鍵盤ハーモニカ)の音が自らを主張する音として認識されていることに心より感謝いたします。

第1回「野村誠&林加奈」
2008年5月1日(木)
なんじゃ これ ! 野村誠&林加奈デュオ
「ピアノ大作戦 くりくら音楽会4 平成二十年春の陣」


date 3月27日(木)/ place 門仲天井ホール
musician  野村誠(メロディオン・ピアノ)林加奈(メロディオン・ピアノ)

 子供たちよりもメロディオンを楽しんでいる大人たち第一弾は鍵盤ハーモニカ演奏集団「P−ブロッ」のリーダー野村誠さんと林加奈さんです。作曲家、ピアニストとして活動されている野村さんと音楽家、画家としても活動されている林さんが造る摩訶不思議な音と時間の空間へと誘われました。


 イントロダクションは野村さんの奏でるゆるーいピアノから。会場の空気を浄化した頃合で林さんが登場。そして、おもむろに「サザエさん」のテーマがスタートする。もちろん、メロディオンのデュオである。
 お馴染みのテーマに拍子抜け気味であるが、2台のメロディオンが絡み合う微妙なコールアンドレスポンス。林さんのメロディーを阻むかのように挑む野村さんのメロディオン。そして、林さんを置き去りにして勝手にピアノへと行ってしまう。ここからは形式も様式も無い音だけの世界がスタートする。


 野村さんの後を追いかけてピアノへと移る林さん。音楽のイニシアティブは野村さんにあり、それを手中にしようと二人の格闘が始まる。野村さんをくぐりポジションを奪おうと試みるが、すでに野村さんの関心は別のほうへと移っている。会場の子供が遊ぶと自らも鍵を取り出して遊び始める。当然林さんの関心もそこに移る。コミカルな姿だけを見ていると二人が何をしたいのか、音楽から逸脱しているだけにしか見えないのだか、二人の造る音と時間の空間はまだ入り口に過ぎないのだ。


 音と真剣に遊ぶ野村さんとそれを追う林さん、ピアノの周りを駆け回り打鍵する。鍵盤を奪い合いながらも弾こうとする二人は何故そんなことを・・・、多分、そこに音があるからなのだろう。留まることを知らない彼らの音の世界、すべては気持ちの抑揚のままに。
 しかし、あっけない幕切れを演じたのは野村さんだった。ピアノのふたを閉めてしまい再びメロディオンへと移っていく。林さんがいくらピアノを叩いてもさっきまでの音はしない。


 行き場を失った林さんは野村さんの鍵を見つけて語り始める。キーホルダーのカエルになっている。何を伝えようとしているのか。何の意味があるのだろう。そんなことは考えずに場の流れを楽しんだほうが良い。いつの間にかキーホルダーは野村さんの手に移り、語りが始まる。さっきまでと攻守が入れ替わっている。そして、二人でピアノを弾き始める。


 摩訶不思議な音楽は終焉を迎える。それは満ちた潮が引くように潮騒だけを残していく。拍も拍子も調子も無い、形式も様式も。しかし、そこには野村誠と林加奈は存在する。二人が創りあげた音と時間と空間がそれを語りかけている。