date 12月3日(水)/ place スーパー・デラックス (六本木)
musicians P-ブロッ カルテット(野村誠、鈴木潤、しばてつ、林加奈) SuaraSanaからのお誘いで六本木に出没したP-ブロッご一行、今夜はついにエレクトリックサウンド解禁です。鍵盤ハーモニカのアコースティック感を大切にして極上のリードサウンドを作り上げてきた彼らだけに、どのようなサウンドを創造してくるのかワクワクしてきます。
クリスマスムード漂う六本木通りから地下に降りるとスーパー・デラックスのエントランスに着く。大きな扉の向こうには地下のアジトのような無機質な空間が広がっていて、先客たちがお喋りに花を咲かせている。 「ラインを通したのもなかなかいいですよ。」と、話しかけてきたのはしばてつさんだった。「リハのときにラインを伸ばして客席側から吹きながら聴いたんです。初めてですね。演奏しながら全体のバランスを感じられたのは。トランスミッターがあればどこでも演奏できるから面白そうですね。」と、笑われる。
P-ブロッからスタートした今夜のライブ、オープニングは「2001年去年の旅」。タイトルはパロディーのようであるがR シュトラウスの名曲を鍵盤ハーモニカだけでリアルに再現している。オルガンの響きの変わりにメンバーたちが「ウー」とか「アー」とか声をHAMMOND 44に吹き込んでいる。音程感を感じられないことがとても面白い。旋律も生音の場合は個の存在が強調されるが、PAを通したことで平坦にサウンドが行き渡る。サウンドの定位にもよるのだろうが、重なりがとても明確である。そして何よりも、繊細なアコースティックサウンドのときと較べて自然と耳に音が届く。聴こうする緊迫感を必要としないところが安心できる。別次元のP-ブロッである。
この後、P-ブロッのお馴染みのナンバーがメドレーで駆け抜けていき、「犬が行く」(林加奈)「セカンドステート」(しばてつ)「音楽会の客」(鈴木潤)、「FとI」(野村誠)と各メンバーの作品が並ぶ。各々の個性は勿論であるが、プレイスタイル、作品の主張するもの、本当にP-ブロッはバラエティーに富んでいる。お互いを主張することは簡単であるが、それぞれの主張を受け止める。それも、同楽器であることには感心させられる。常に真新しいキャンパスを持っているのだろうか、彼らの描く音楽は鮮やかな色彩を放っている。 また、今回感じたのは野村さんの演奏するバスメロディオンに独特の味わいがあること。バスメロディオンというと鈴木潤さんというイメージが強く、アタックが明瞭でタイトなサウンドが思い起こされる。しかし、野村さんのバスメロディオンは音の伸びているときの表情が美しい。リードの振動が伝わってくるよう趣があるのだ。このように演奏者によるサウンドの違いが如実に分かるのであれば、バスメロディオンのエレクトリック化も今後考えなくてはいけないと強く思う。
P-ブロッのステージの後は、RabiRabixPiko、SuaraSanaと続く。、RabiRabixPikoは「縄文トランス」と呼ばれるように、フロントのパーカッションが奏でるアップテンポのビートに鼓動がシンクロしていく。そして、そのビートに合わせて音や声を変調させたサウンドで異次元へと誘われる。摩訶不思議な空間を創り出すバンドである。 今夜のライブを主催したSuaraSanaはガムラン、クンダン、ガタム、口琴などの民族楽器とヴォイス(ホーメイ)、ベースによるアンサンブル。豊かな倍音を含むサウンドとグルーヴぃーな音楽は独特な世界観を感じさせてくれます。あたかも、音が光のように降ってくるような幻想的な空間を作り出します。 三者三様のバンドが集まったのだが、どのバンドも生音を大切にしているアーティストたちであった。美しいものを美しく感じられる。美しい原音の上に様々な工夫を加える。音に対する欲望を追求する人間本来の営みを楽しむことのできたライブであった。P-ブロッも従来のスタイルを大切にされながら、今後、新たな分野をも開拓されることを楽しみにいたします。 |
date 11月26日(水)/ place NARU(代々木)
musicians 井上ゆかり(PIANO/HAMMOND 44) 平松加奈(VIOLIN) 池田雅明(TROMBONE) 今回紹介するのはジャズピアニストの井上ゆかりさん。初対面の挨拶を交わすと、「はじめまして、井上ゆかりです。」とゆったりとした4ビートの調べが帰ってきた。「HAMMOND 44、気持ちよく使わせていただいています。今夜が26回目の演奏です。」と語りかけられ、ふと我に返る。たしか彼女がHAMMOND 44を演奏し始めたのは11月1日だった。ということは、このHAMMOND 44は毎晩彼女の調べを奏でているのだ。ピアノの上には誇らしげにHAMMOND 44載っていた。
井上さんの今夜のお相手はバイオリンの平松加奈さんとトロンボーンの池田雅明さんです。「バイオリンとトロンボーンがフロントでご一緒することは初めてですね。」と、語りかける平松さん。何か含むところがあるようだ。池田さんが重たげに口を開く。「今日はチェロの代役で呼ばれたから緊張しているんです。弦楽器のように指が回るわけでもないし、難しい譜面がきたらどうしようと思って…。」 本人が言うような心配は全く無くテノールの響きを奏でる池田さん、ハイからペダルトーンまでとても美しい。トロンボーン特有のスライド奏法は弦楽器同様に微分音を含む、異種楽器であることを感じさせないほどフロントの相性は良い。平松さんのバイオリンは情熱的でジプシーの血が沸き立つような響きである。優雅なボウイングとは対照的に小気味良いリズムを感じている。そして、下からは池田さんのロングトーンが煽ってくる。最強のフロントである。
エネルギッシュなフロントを支えるのは井上さんのピアノ、会話のときの柔和なイメージはそこには無い。しなやかな指先がピアノを叩く、深い響きでベースを刻む。どんなに速いパッセージでも的確に絃を弾く。フロントの二人を船に例えるのなら、彼女のピアノは海である。大きく包み込み、時には翻弄させる。自然の摂理を感じさせるようなプレイである。 「今夜はバラードで使いますね。」と言われていたこともあり、囁くようなリードサウンドを期待していたのだが、彼女が発したのは抜けるようなリードの響きだった。全く持って意表を突かれた。左手のベースにのせてHAMMOND 44を吹き込んでくる。しかし、それがうるさく感じないのはしなやかなフィンガリングの賜物である。鍵盤のタッチで歌い込んでくるのである。
鍵盤ハーモニカは「吹く」「弾く」の表現によって奏でられる楽器である。今回、井上さんに見せていただいた「弾く」は、指先に魂を込めるピアニストならではの技であった。強く叩こうが優しく叩こうが発音体は別にある。しかし、その動作一つで音に思いが乗せられ、表情が豊かになる。井上さんの鍵盤への愛情が伝わるような演奏でした。 超人的なスケジュールでライブ活動をされている井上さん、是非彼女のスケジュールをチェックして指先の魔法をご覧ください。きっと素晴らしい響きに出会えることと思います。 |
date 11月25日(火)/ place BAR LIALEH (二子玉川)
musicians 岡野勇仁、即興カラメール団(赤羽美希、正木恵子) あの ゆるーい泣き声に誘われてまたまたお邪魔しましたアンデスフェスティバル、今宵脱力空間へとエスコートされるのは初代ピアノ屋・岡野勇仁さんです。 もはやアンデスの聖地となった二子玉川。BAR LIALEHのマスターの望月さんからいただいた今夜のお題は、「アンデスとアンサンブル」。ごく普通のテーマに思えますが、語るも涙、聞くも涙の、悲しすぎて笑いがこみ上げてくるドMチックな展開が待っているのであった。
癒し系の楽器だけでは終わらせない。という意気込みの中スタートした岡野さんのアンデスワールド。最初はアンデスに最も適した童謡を数曲、クラッシックの作品を独奏とアンデス三重奏で披露。ここまでは正統派の演奏であったが、この後岡野さんの用意された音源をバックに様々な場面でのアンデス演奏へと発展したのだ。 民族楽器とアンデスではガムラン、アイリッシュ、インドの音楽、チベットの音楽など様々なシチュエーションが現れる。アンデスの不安定なピッチを武器としてこれらの音楽は成立していく。しかし、ヘビーメタルやトランス、フュージョンへと場面を移すと、吹けども吹けども交わらない。やりきればやりきるほどコミカルへと転じる有様。この逆風を快感に変えて演奏される岡野さん、上手すぎることが悲劇となるアンデスの宿命に「これこそ天命!」と大うけされる望月さんだった。しかしながら岡野さんの「アンデス学」はアンデスの生きる道を的確に捉えているのであった。
今回のアンデスフェスティバルを盛り上げてくれたのは即興カラメール団のお二人。アンデス三重奏のために限定販売の新色アンデスを用意したのであるが、3色並べたときに赤羽さんが発したのは「ピーマン」の一言だった。それを言うのであればパプリカでは…? ということで、アンデスパプリカ隊による三重奏は音の彩りも見事なものであった。赤からは芯のある音、黄色は突き抜けるような音、緑は広がりを感じる音、錯覚であることはわかるのだが、個々の音色差を視覚的に増殖させている。色と音という要素は意外なところで効果を発揮しているのである。
豊富な事例の元進められた岡野さんのアンデスレクチャーの後は、世界の歌をアンデスで演奏。あらかじめ用意された50カ国の歌をリクエストに応じて演奏されるのだ。マニアックなところでは、アゼルバイジャンやトリニーダ・トバコなどの国家があったりして、これもまた一興である。「高い音強く吹いても怒られませんか。」と近所を気にされていた赤羽さんであるが、夜が更ける頃には蛇使いと化してしまうのであった。そして、怒涛のごとく第3夜も終焉をむかえたのである。第4夜はどのような展開になるのかご期待ください。
黄色は11月20日の発売、赤は12月22日の発売。しかし、生産開始と同時にメーカー在庫は完売という人気です。限定生産のためご予約はお早めにお願いいたします。東京地区においては鍵盤堂さんでパプリカカラーが並べられています。是非、ご覧ください。各都市でのお取扱店につきましては全国の鈴木楽器販売窓口までお問い合わせください。 |




















