date 3月14日(土)/ place 中目黒 楽屋
musicians maco(琴弾き語り) 岡本芳文(三味線・胡弓) 上原潤之助(三味線/他) 坂元一孝(鍵盤ハーモニカ・ピアノ) 『素晴らしき鍵盤ハーモニカの世界』Webマスターの坂元一孝さん、鍵盤ハーモニカへの熱い情熱には日ごろから感謝しております。今回は坂元さんの演奏に触れてみたくて琴弾き語りのmacoさんのステージを訪問しました。何でも2枚目のアルバム発売記念のライブということで、邦楽関係の方も集まられているようです。 琴(筝)というと「和」のイメージで邦楽曲を想像しますが、macoさんの弾き語りは「謡」ではなくて「歌」。二十絃筝の音色に後押しされて詞を歌い上げています。そこに、三味線、胡弓、低音三味線などとともに坂元さんの鍵盤ハーモニカが加わるのです。あたかも、和楽器バンドに加わったキーボードという趣ですね。 ホテルのラウンジなどで歌謡曲やポップスを和楽器で演奏している場面も多いのですが、どこか不自然、というよりも無理やり和にしている印象を受けます。しかし、macoさんの演奏は和に媚びることなく歌を綴っていく。琴のアルペジオからは和声感を受けるのだが、歌や他の楽器が奏でる旋律の力がそれを感じさせない。じわじわと染み入る歌声の奥から和みの響きが伝わってくるようだ。
坂元さんが使用されていたのはPRO-37v2、夏秋さんと同じ両手弾きでの演奏です。低音を残しながら旋律を奏でる模様は、二十絃筝の演奏を模写しているような錯覚を覚える。いつも通りのメロディオンのサウンドなのだが、和楽器たちとの重なりがとても自然で優雅なのです。余韻の短い和楽器の音色は音の始まりに様々な表情がある。すぐに減衰してしまう果敢なさこそ日本人の美意識に適っている。だからこそ、坂元さんはその音を消さないように繊細な吹き始めを意識されている。絃の発音からわずかに遅れて聞こえるリードの音に「和」を感じさせられたのである。 教育楽器として誕生した日本の鍵盤ハーモニカ、旋律を学習するための教材という役割からリード楽器、鍵盤楽器として幅広いジャンルへと活路を伸ばしています。鍵盤ハーモニカの可能性を信じて、鍵ハモ界を牽引されてきた坂元さんたちの活動が鍵盤ハーモニカに新しい息吹を吹き込んでいます。これからも鍵盤ハーモニカの可能性を広げていただきますこと、心よりお願いいたします。 |
date 2月10日(火)/ place 新宿ミノトール2
musicians 石坂慶彦(PIANO/HAMMOND 44) 真部裕(VIOLIN) 木村将之(CONTRABASS) 「トイレであったとき気付きませんでしたよね。」と、唐突に言われたのは作曲家でピアニストの石坂慶彦さん。決して用を足すために急いでいたのではない。あまりにも風貌の変化に気付く間もなかったのである。石坂さんといえば「ロン毛で、茶髪で、ヘビーメタルな風貌」というスリコミが出来上がっているため、目の前に現れた姿を認識することができなかったのです。 「何か制作的にNGの現場でも会ったのですか。」と、問うと、「いやぁ、単なる心境の変化ですよ。髪切っても石坂って分かってもらえるようにならなくっちゃ。」と、答えが返ってきた。我ながら、とんだ失態を反省するのであった。
さて、今回紹介するのは石坂さんの参加するアコースティックユニット「NAMARA」である。石坂さんのピアノと、真部裕さんのバイオリン、木村将之さんのコントラバスからなるドラムレスの編成、今回1年ぶりのライブを行うということでお邪魔させていただきました。 今回のライブの面白いところは、プログラムがメンバーのオリジナル作品であったこと。東京芸大出身(木村さんは院生)のメンバーだけに、弾いてよし、作ってよし、2つの楽しさを味わえるライブ。その上、笑いのツボも心得ている最強ユニットである。真部さんの作風はソリストらしい優雅なもの、とにかく旋律が美しく、豊かな低音から透き通る高音でバイオリンが歌い上げる。木村さんの作品は不安定な和声の中で安定したベースの進行がなされている。ベーシストならではの着眼だ。石坂さんはやはり作曲家、客観的な目で全体像を的確に捉えた無駄のない作風だ。三者三様であるが、どの作品にも音楽の力強さを感じさせられる。 また、石坂さんのピアノは張り詰めた音を発する。単に打鍵が強いのではなく、研ぎ澄まされた切れ味の発音で音を伝えてくるのだ。ドラムレスの編成でビート感を感じさせられるのは、寸分の狂いもない石坂さんの打鍵にあるのではないだろうか。そして、その張り詰めた空気を和らげてくれたのがHAMMOND 44だった。今回はアコースティックに徹した演奏でマイクさえ使っていない。演奏者たちの指先から発する緊張感に息の温もりが加わる思いである。鍵盤ハーモニカの可能性が石坂さんによって具現化されているのだ。 幅広い活動をされている石坂さんにとって自身のライブを持つ時間は限られています。しかし、寸暇を惜しんで行われているだけに、そこには彼の音楽が凝縮されています。是非、スケジュールをチェックされて石坂さんの演奏をお楽しみいただきたく思います。 |
date 2月11日(水)/ place 大阪 Another Dream
musicians chi ja(Vocal) 大友剛(Piano、鍵盤ハーモニカ) 石河麗(Flute) ファミリーコンサートからワークショップ、音楽にマジックに幅広い活動をされている大友剛さん。今回はボーカリストのchi jaさんとのライブに伺いました。
ピアニカ王子の肩書きとは別に叙情的なピアノを弾かれる大友さん、今夜はミュージシャンとしての彼にどっぷりと浸かってみたく思います。 今夜の共演されるchi jaさんは伸びやかな歌声のボーカリスト、大阪出身ということもあって会場は彼女のファンで埋め尽くされています。韻を踏むように丁寧に歌詞のせる歌声と。大友さんの語るようなピアノの調べ。石河麗さんのフルートの響きが重なり合い、一足早い春の訪れを感じさせられます。
春を紡ぐ歌声に酔いしれている会場を現実の世界に引き戻したのは大友さんが用意したあの楽器だった。黄色の風船と足踏みポンプ…。そうです、ケンハモナイトでお目にかかったバルニカです。今回はバグパイプ風のイントロを奏でるために用意されたのです。そして、バルニカのコードにあわせてHAMMOND 44がメロディーを歌い上げる。「発売になったら使わせていただきます。」というケンハモナイトでの約束は実現の日を迎えたのだった。
そして、セカンドセットでは石河さんのフルートとデュオで「Tico Tico」を演奏される。HAMMOND 44をピアノの鍵盤の上に乗せて演奏された大友さん、バッキングパートが多くリズムを刻むたびに微かにピアノの鍵盤が押されます。すると、リードの響きがハンマーから弦を伝わり、とても豊かな音を響かせています。今回はアコースティックで使われていただけに思いがけない音の広がりに耳を疑います。 また、chi jaさんの「ピアニカで…」というMCには、「ピアニカでもメロディオンでもなくてHAMMOND 44」という、嬉しい広告まで入れていただき、本当にありがとうございました。
3月中旬には今回のユニットで韓国ツアーが行われる。この機会に是非隣国にも大人の鍵盤ハーモニカの魅力が伝えられることを期待したく思います。日本、韓国、アジアと鍵盤ハーモニカでつながる日が来ることを楽しみにいたします。ツアーの成功を心よりお祈り申し上げます。
『きみのうた ・ 大友 剛』
歌、遊び、体操、シアターの達人・ケロポンズのオリジナルベスト曲を、大友剛がアレンジを加え、様々な楽器を使ってインスト曲集にしました!ピアノ、鍵盤ハーモニカ、トイピアノ、アコーディオン、トーンチャイム、オルガン、アンデスなど、、、 生の楽器の音色、息づかいをお楽しみ下さい! 自宅、行事、お昼寝前などにゆったり聴ける音楽です。 全13曲収録。カエルちゃんオフィスより |
date 2月13日(金)/ place 渋谷RUSH
musicians あらかじめ決められた恋人たちへ(池永正二/PRO-37v2) 鍵盤ハーモニカ界に革命を呼び起こすべく登場したのは「あらかじめ決められた恋人たち」(以後「あら恋」と呼ばせていただきます。)の池永正二さん。メロディオン1本でクラブシーンを震撼させるミュージシャンです。今回は「あら恋」の公開レコーディングがおこなわれる渋谷RUSHにお邪魔しました。
池永さんと初めて会ったのは昨年の楽器フェスティバルでのことだった。テルミンのクリテツさんとHAMMOND 44のブースを訪ねてくれたのでした。そのとき彼の愛機PRO-37v2を見せていただき衝撃が走った。電子音を発振する回路が付けられていたのだった。そして、彼らのCDを耳にして、「もはやメロディオンではない。」とも感じさせられた。
彼らのステージは耳を貫くエレクトリックノイズからスタートした。歪みきったノイズが耳を支配する中、深いリバーブやディレイに覆われたリズムが鼓動を刺激する。ベースが加わることでさらに大きな揺らぎが生まれ、脳内をトランスへと誘っていく。意識を覚醒させたのは池永さんの絶叫だった。雄叫びとともに現実に引き戻され、メロディオンの叙情的な旋律が流れてくる。 彼らが得意とするダブというのはレゲェとスカから発展したジャマイカ音楽のひとつ。過度なリバーブやディレイ効果で浮遊感を創造し、ベースやドラムの低音を強調することで独特の音楽空間を作り上げている。音楽に身を委ねているだけで心地良く、強調された低音部が体を揺するのだ。身動きも取れないほど過密したフロアは彼らの音楽とひとつになっている。
無機質なシンセパートのシーケンスと池永さんのメロディオン、ベースとドラムの存在をつなぐファクターとして欠かせないのがクリテツさんのテルミンである。池永さんのメロディオンは叙情的な旋律を疾走させている。それにまつわりつくように浮遊しているテルミンのサウンドは夢と現実を行き来する。 また、クリテツさんはテルミンだけでなくジャンベ、メロディオンも演奏される。今回はHAMMOND 44を使ってバッキングのパートを担当、マイクを通している池永さんのメロディオンは様々な距離感を感じさせるが、ラインでのHAMMOND 44は安定した響きで存在感を示している。
「あら恋」のステージには教育楽器としてのメロディオンの姿は無い。池永さんにとって魂の叫びを伝える音がリードだったのではないだろうか。だから彼からはメロディオンで音楽を創造しているという縛りを感じさせられないのだ。まさにニュータイプの鍵盤ハーモニカプレイヤーである。 今回レコーディングされたアルバムは夏ごろ発表されます。多くの人々に彼らの作品が届けられることを心待ちにいたします。また、現在発売中の「カラ」も素晴らしい作品です。是非皆様お聴きください。 |
date 2月25日(水)/ place BAR LIALEH (二子玉川)
musicians 林加奈、けんはもよん(岡野勇仁、赤羽美希、中浩美、林加奈)、飯島ゆかり 「加奈さん、頼まれていたアンデスの赤、持って行きますからね。」 「ありがとうございます。今日はアンデスでショウロンポウやりますから。」 「何だか面白そうですね。」 「ではのちほど。」 電話を切った後、頭の中では「?・?・?・?・?・・・・」。ショウロンポウ、しょうろんぽう、小龍包。どうしてアンデスで小龍包なんだ・・・。しかし、加奈さんならやりかねない。どうなってしまうのだろう。今夜は。
数時間後、LIALEHで出迎えたのは和装アンデス娘たちだった。すると、次なる疑問が・・・、「どうして和服で小龍包なんだろう。」 問いかけてみると、今度は加奈さんが「?・?・?・?・?・・・・」。 「私はアンデスでショーロっぽいのをやるって・・・・」 ショーロっぽい、ショーロッポイ、ショウロンポイ、ショウロンポウ・・・・、大いなる勘違いに胸をなでおろすのでした。 そもそも今回のショーロとは、けんはもよんの岡野勇仁先生の解説によりますと、 「ショーロはブラジルの古いポピュラー音楽のひとつで、サンバのおとうさんみたいなもの。ボサノバをサンバの子供としますと、ボサノバのお爺さんみたいな音楽です。」
さて、今夜のアンデスフェスティバルがどのような展開になるのか。それは即興の革命児(女子)に相応しいクリエーティブな一夜となるのでした。 まず、ショーロというのはAABACCA(AABBACCA)という形式でできています。すなわち、A(C) 、B(Am)、C(F)という3種類のメロディーを作るのです。偶然にも今夜の参加者は16名、一人が1小節(4拍)ずつ作ったものをつなげていけばできてしまうのです。飯島ゆかりさんのパンディエロにのせられてできた音楽が下の楽譜、「アンデス行進曲“小龍包”」です。
「アンデス行進曲“小龍包”」の大合奏の後は、ショーロをレパートリーとするけんはもよんのステージです。リーダー岡野勇仁さんを筆頭にお馴染みの面々が並びます。いつもと違うのは岡野さんがアンデスを持っているところ。張り詰めたソプラノパートをアンデスでという粋な計らいです。 最後は坂元一孝さんと正木恵子さんを招いて鍵ハモオールスターズによる「はもけんサンバ」の演奏。アンデスフェスなのに何故かはもけん・・・・、そこのところは忘れていません。オブリガードは勿論、岡野さんのアンデスでした。不安定なピッチで錯綜しながらもアンデスは、その存在を誇示していました。
ブラジル音楽に彩られ第4回を終了しましたアンデスフェスティバル、最低音のFから数えるとまだG#の鍵盤です。全鍵制覇(25回)までの道のりは長いです。首謀者の望月さんも新たな企みに向けて着々と準備を進めています。まだ、未体験の皆様、是非第5回にはご参加ください。ゆるーい笛の音がお待ち申し上げます。 |

































