date 4月5日(日)/ place 渋谷 Spuma
musicians 関藤彰子(flute) とりのでんすけ(key&鍵盤ハーモニカ) 藤枝暁(guitar) 野々口毅(bass) 安井希久子(percussion) 鈴木楽器の東京の事務所から、「HAMMOND 44を2台購入されたお客様がいらっしゃいます。」と、連絡をいただいた。何でも、ライブ活動で使用されているためにリードの調律のためにスペアに1台用意されているそうだ。そして、紹介されたお客様のWebから、日時と場所、「key&鍵盤ハーモニカ:とりのでんすけ」というキーワードだけをたよりにDRASCOのライブに出かけることにした。
Spumaの受付を抜けるとホールはすでに満席の模様、見渡すと奥のほうに笑顔の上に笑顔を重ねてHAMMOND 44を抱えている人物を発見する。とりのでんすけさんである。初対面の挨拶をすると、床に頭がついてしまうほどお辞儀をされて本日の訪問をねぎらっていただく。底抜けに爽やかな方である。そして、その爽やかさに包まれたままライブはスタートするのだった。 でんすけさんのピアノによる静かなイントロダクションからテーマへ、そして高速の4ビートへと移ったときに衝撃が走る。関藤さんのフルートと重なり、でんすけさんのHAMMOND 44が旋律を駆け抜けていく。驚くことにフルートと同じアーティキュレーションであるから、MIDIでシンクロしているような響きなのだ。80年代のフュージョンサウンドを髣髴させるサウンドに心の針は一気に振り切ってしまった。
でんすけさんも然ることながら、鍵盤ハーモニカという楽器の可能性と彼をリスペクトされているメンバーたちも素晴らしい。リーダーでもあるベースの野々口さんは、「でんすけさんの鍵盤ハーモニカに惹かれました。」 と言われるだけあって、アコースティック感豊かなバンドカラーを築いている。彼の作る曲は何処となく切なさを残し、リードの叙情感を引き出しています。鍵盤ハーモニカ、フルートのフロントを支えている藤枝さんのギターアルペジオ、柔らかなガットの響きが心地良く旋律を後押ししてくれます。パーカッションの安井さんが繰り出すリズムは、とてもタイトでキレがよい。鼓面にしなやかにヒットする指先が抜けるようなビートを楽しませてくれます。でんすけさんがHAMMOND 44を背に回してキーボードプレイに徹する曲もありますが、これだけ鍵盤ハーモニカを取り上げていてプログラムが単調にならないのはメンバー個々の実力を感じさせられる。
でんすけさんのHAMMOND 44が牙を剥いたのはファーストセットの終わりであった。変拍子のスパニッシュ調の曲で高速プレイが炸裂、HAMMOND 44の浅い鍵盤ストロークとリードの立ち上がりがでんすけさんのスピード感を損なわせない。ブレスの限界を超える彼のフレージングはキーボーディスト本来の性であろう。肺の中が空になる直前までエクスプレッションを踏み込み、指が駆け抜ける。シングルハンドであることを感じさせない疾走感だ。時折、音を上げようとするブレスがアコースティックであることを伝えている。
「鍵盤ハーモニカの可能性をとことん追求したい。」 と、語られたでんすけさん。我々に新たなサウンドと感動を与えてくれることを楽しみにしています。そして、その可能性を実現してくれるDRASCOからは目が離せません。次回ライブは未定ですが、是非メンバーのWebサイトをチェックして皆様お出かけください。 追伸 でんすけさんのブログと野々口さんのブログでライブの模様が紹介されています。セットリストに記された二人のコメントも特徴的です。 |
date 3月26日(木)/ place 大阪 本願寺津村別院(北御堂)本堂
musicians 鍵ハモ隊 大友剛さんのライブで偶然知り合った相愛大学「鍵ハモ隊」の金城亜衣さんからコンサートの案内をいただき、本願寺津村別院へ伺いました。本堂でご本尊を背に始まろうとしているコンサートは厳粛な空気を醸し出し、凛とした緊張感を漂わせています。そして、鍵ハモ隊のメンバーたちが入場し、ご本尊に一礼されます。
コンサートの始まりは「恩徳讃」から。厳かな旋律が本堂に木霊します。そして、ヘンデルの「アラホーンパイプ」、ラヴェルの「弦楽四重奏曲」へとプログラムは進みます。7名のメンバーで奏でるアンサンブルは実に繊細で清らかな響き、クラッシックのプログラムも手伝ったのかアカデミックなサウンドとして伝えられます。そして、注目したいのはメンバーの殆どがトランペット型のマウスピースを使用していること。通常のマウスピースは唇をマウスピースの孔にあわせて緊張させますが、このタイプは自然な唇の形が保持できて息の流れが緩やかなこと。タンギングをするときに舌がマウスピースに触れないためアタックがソフトになります。だからアンサンブル全体が優しい響きとなっているのです。
また、選曲に合わせてバスメロディオンを増減させていることも見逃せません。マイクでバランスを取れば解消されることですが、アコースティック感を損なわれない演奏をされている姿勢には好感を覚えます。2〜3cmに満たないリード片の振動だけで音楽を伝える。これこそリードアンサンブルの原点です。曲調によっては二声に分かれ、アルトパートを支えるアレンジも見事なもの。大学生の編曲だからといって侮ることはできません。鍵盤ハーモニカの魅力を十分に伝えています。
「鍵ハモ隊」は相愛大学音楽学部創作演奏専攻の学生により、2004年に結成された鍵盤ハーモニカアンサンブルグループです。当然のことながら結成当時のメンバーは現在在籍してはいません。「もっと、演奏のクォリティーを高めたかったのですが・・・。」 と、終演後に話された金城さん。その言葉には先輩たちの築いた伝統の重みと、新たな歴史を重ねようとする進取の思いの狭間で、学生サークルを運営していく難しさを垣間見ました。しかし、過去や未来に束縛されることなく、今の輝きを大切にしていただきたいですね。
コンサートはガーシュインの「I GOT RHYTHM」で幕を閉じました。この演奏も圧巻、スピード感のある演奏を心に刻みメンバーたちは退場していくのでした。 今回、訪問して彼女たちの鍵盤ハーモニカで音楽に取り組む姿勢に感動を覚えました。数年前までは小学校で鍵盤ハーモニカを吹いていた子供たちが、鍵盤ハーモニカを教材から楽器へと昇華させてくれたこと。そして、その楽器で人々に感動を与えていただいていること。これらは現メンバーだけでなく、「鍵ハモ隊」を産み、育ててこられた卒業生、関係者の方々の努力の賜物と感謝いたします。今後も皆様の活動を応援させていただきます。 |
















