ハモンド・スズキの日々是、口風琴 -きままにメロディオン-

ライブ告知板


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第36回 くせになりそうな鍵盤ハーモニカ
 「jazz unit DRASCO 3rd LIVE」
2009年7月30日(木)
date 7月23日(木)/ place 南青山MANDARA
musicians 関藤彰子(flute) とりのでんすけ(鍵盤ハーモニカ&piano) 藤枝暁(guitar)
       野々口毅(bass) 安井希久子(percussion)

 一度聴いて耳から離れない演奏がある。今年の春に出会った、とりのでんすけさんの鍵盤ハーモニカがそうである。密度の濃いバンドサウンドの中を疾走するでんすけさんのHAMMOND 44が印象的であった。時間が経つほどに全体像は薄れていき、でんすけさんのプレイだけが際立ってくる。そのような矢先、でんすけさんからライブのお誘いをいただいた。


 ドアオープンから遅れること10分、老舗のライブスポット MANDARAのフロアはすでに満席模様。かろうじてピアノの後ろのチェアが空いていた。バンド全体を眺めるにはデットなスペースだが、でんすけさんのプレイを始終眺められる特等席でもあった。
 些細なことではあるが、前回のプロフィールでは「Key&鍵盤ハーモニカ」となっていたでんすけさんの欄が「鍵盤ハーモニカ&Piano(Key)」となっている。それはDRASCOの音楽において鍵盤ハーモニカというファクターが増殖しているのだろうか。そんな期待を膨らませてオープニングを待つ。
 オープニングはハービーのchan's songからだった。アコースティックピアノとガットギター、フルートとベース、カリプソ風のパーカッションが加わって季節感のあるサウンドを作っている。そして、でんすけさんがHAMMOND 44に手を伸ばすと涼しげな風が吹き抜けていく。バンドと鍵盤ハーモニカの一体感が際立っている。


 この後、藤枝さん、野々口さん、でんすけさんのオリジナル作品が演奏されるが、どの作品においても鍵盤ハーモニカが良い味を出している。それぞれのパートが鍵盤ハーモニカとからむツボを心得ているのだ。ピアノの後方に居たため見ることができたのだが、曲毎のスコアがとても充実している。バンドとしてのサウンドの組み立てを試行錯誤されていることが感じられる。単なるセッションではなく、入念なリハーサルを重ねた演奏である。
 そして、DRASCOの面白いところは各楽器の役割・・・というよりも、各プレイヤーのキャラクターがクロスオーバーしているところではないだろうか。ギタリストのようなベーシスト。ベーシストのようなギタリスト。ピアニストのようなパーカッション。ドラマーのようなピアニスト。お互いの領域まで踏み込んでいっても反目することはない。むしろ、それぞれのキャラクターが重なり合い独特のグルーブを生み出している。


 前回はでんすけさんの高速プレイに目を奪われてしまったが、それ以上にピアノやエレピを主体とした曲の中での鍵盤ハーモニカの取り上げ方は絶妙である。ピアノの大きな波が打ち寄せられ、潮騒の中から聞こえてくるリードの音。エレピを叩いていき、クレッシェンドの先を演出するリードの音。ソロで聴く以上に語りかけてくるものがある。曲頭からマウスピースを用意しているのは便宜上だけではない、常に休符を演奏しているのである。ピアノと鍵盤ハーモニカ、2つの楽器のプレイヤーが同居しているようである。
 「今回のようにアコースティックピアノがあると、エレピの存在が希薄になっていきますね。鍵盤ハーモニカとピアノだけでもいいような・・・。これに加えるのだったらオルガンの音がいいのかな。HAMMOND 44にロータリーエフェクトをかけてみても面白いかもしれないですね。」と話されるでんすけさん。DRASCOのサウンドはよりアコースティック感に磨きをかけていくのだろうか。その確信については、「どこへ行き着くのかは自分たちでも分からないです。」と、頼もしげに応えられる。そこには未知のポテンシャルを感じさせるものがあった。

【お知らせ】
DRASCOの次回ライブは10月10日(土)、今回と同じ南青山MANDARAで行なわれます。
是非皆さん、お出かけください。
また、8月6日(木)には「DRASCO5分の3」が阿佐ヶ谷のnext Sundayで行なわれます。でんすけさんと藤枝さん、野々口さんの男チームのライブです。
詳しくは、野々口さんでんすけさんのホームページをご覧ください。

第35回 「永井誠一郎さん、いよいよHAMMOND 44!」
 GLAYのサウンドを飾る鍵盤ハーモニカ
2009年7月28日(火)
 GLAYのサポートキーボーディストの永井誠一郎さん。HAMMOND 44は彼との出会いによって生れたと言っても過言ではない。当時、発売前のLeslie3300をロックの最先端のステージでモニターしていただきたく接触したのであったが、迫力のあるバンド機材の合間に1台のピアニカが置かれていたのが印象的であった。そのピアニカは楽器スタッフの手によりカスタマイズされており、ピックアップが貼られていた。そして、素朴なサウンドで奏でるバラードは心に染みてくる響きであった。
 その後、そのピアニカはPRO-37v2へと主役の座を譲り、「つづれ織り」のリードサウンドも艶やかな響きを奏でてきた。しかし、PRO-37v2も教育楽器という枠の中から発展したモデルで、ステージキーボードとしての鍵盤ハーモニカではなかった。GLAYというバンドサウンドの中でも鍵盤ハーモニカが必要とされている現実からも完全プロユース、教育用途から切り離した鍵盤ハーモニカの企画に着手したのだった。
 HAMMOND 44がCから始まるスケールになったことも、L型ジョイントのロングマウスピースも永井さんの要望からスタートしている。そして、永井さんをはじめ様々なキーボーディストの要望を取り入れてHAMMOND 44のコンセプトがまとめられたのである。
GLAY HALL TOUR 2009のプログラムでは鍵盤ハーモニカの活躍はなかったが、8月15・16日のTHE GREAT VACATION IN NISSAN STADIUMでは永井さんの鍵盤ハーモニカのプレイにも期待が高まる。是非HAMMOND 44の原点ともいえるリードサウンドをお楽しみください。



第34回 「鈴木大さん、初のソロアルバム
     「Window」は全曲HAMMOND 44」
2009年7月14日(火)
 平井堅さんのライブピアニストとして活躍中の鈴木大さん。7月1日にリリースされたソロアルバム「Window」は全編HAMMOND 44という衝撃の1枚です。鈴木大さんはライブでも鍵盤ハーモニカを演奏されていますが、「HAMMOND 44と出合ってこのアルバムのインスピレーションが湧いた。」と言われるだけに、鍵盤ハーモニカの可能性を存分に引き出している作品です。
 だれもが、いつでも手に届く鍵盤ハーモニカ。だからこそ懐かしく心に染みてくる。ファインダーをのぞくとセピア色だった風景が色とりどりに蘇ってくる。ちょっとノスタルジックに語りかけてくる鈴木大さんの音楽に身をまかせてみませんか。

Window 2009年7月1日発売
Window
bird Records BRCD-003 \2,000(税込)
1. Overture 〜open your window〜
2. NEW STAGE
3. Self-Portrait
4. Dandelion on the Wind
5. Polovetsian Dances 「ダッタン人の踊り」
6. After the longest sleep
7. Bossa “Friends”
8. Tinsagu nu Hana 「てぃんさぐぬ花」
9. anytime, anywhere, with you

1. Overture 〜open your window〜
 心地良い6/8拍子の揺らぎと、エチュードのような懐かしいフレーズがリードサウンドを引き立てています。息づかいまでもが伝わってくるHAMMOND 44の調べが心の窓を開放します。
2. NEW STAGE
 軽快なハンドクラップを伴って始まるこの曲は、HAMMOND 44の誕生を祝うかのようなナンバーです。カラッとしたリードサウンドはとてもポップでお洒落、シンセとは一味違った生命の息吹を感じさせてくれる響きです。
3. Self-Portrait
 感情豊かに表現される叙情的なフレーズが心に染みてくる。ピアノとのデュオに嫉妬を覚えるかのように登場してくるシンセサウンドは有と無を表すかのように対照的なサウンドが印象的です。
4. Dandelion on the Wind
 HAMMOND 44の美しい高音を聴かせてくれるのがこの曲。軽快なポップから力強いR&B、そして穏やかなコーダへと展開する。タンポポの綿毛を翻弄させる風のように気ままに。しかし、常に実を結ぶのはタンポポだった。そんな紙芝居を見るような思いです。
5. Polovetsian Dances 「ダッタン人の踊り」
 HAMMOND 44特有の低音リードの響きでボロディンの名曲を浪々と歌い上げる。ノスタルジックな感傷に包まれる響きです。
6. After the longest sleep
 ものうい感じで語りかけてくるイントロダクション。テーマは少し粘りのある響きのリードサウンドで綴られる。伴奏のピアノとエレピが夢と現実を描くかのように交差する。
7. Bossa “Friends”
 バックで演奏されているオルガンがコケティッシュな雰囲気を醸し出すのがこの曲。気恥ずかしさもなく友達と素直に手を握れた幼い日を思い出すような思いです。ノンリバーブのHAMMOND 44もいい味を出しています。
8. Tinsagu nu Hana 「てぃんさぐぬ花」
 沖縄の調べを波の音にのせて届けます。鼻歌を歌うように爪弾く(吹く)感じが何とも言えません。モノフォニックな世界をゆっくりと堪能するのも癒されます。
9. anytime, anywhere, with you
 「いつでも、どこでも」、鈴木大さんの鍵盤ハーモニカへの思いが凝縮されたような1曲です。優しく歌い上げるHAMMOND 44の調べが心地良く、いつまでも聴いていたい気持ちにさせてくれます。しかし、その思いは届かず、やがて静寂が訪れる。