date 12月18日(金)/ place 高田馬場 四谷天窓comfort
musicians 鈴木大(HAMMOND 44&piano) guest 大神田智彦(bass) 2009年、HAMMOND 44で2枚のアルバムをリリースされた鈴木大さん。どちらもアコースティックリードの魅力を十分に伝えられ、疲れた心に安らぎを吹き降ろしてくれる作品ばかりです。今回は2枚目のアルバムタイトルの通り、HAMMOND 44による聖なる一夜をお届けいただきました。
鈴木さんといえば平井堅さんのサポートメンバーとしても活躍中、Ken’s Bar では美しいピアノを奏でられています。泣けるバラードからグルーピーなポップまでを自在に操る鈴木さんは、HAMMOND 44に生命を注ぐように息を吹き込まれています。そして、「この楽器は歌とピアノの中間に位置すると僕は思っています。」 と紹介されるように、彼のサウンドはとても繊細。リードの鳴り初めから鳴り終わりまで、リードの振動が目に見えるように伝わってくるのです。きらびやかな高音部以上に豊かな低音部の響きが心地よく耳に残ります。
今回は年末のツアーの最中ということもありミュージシャンたちは忙しく、文字通りのソロツアーだ。Ken’s Barで共演されているベースの大神田智彦さんが応援に駆けつけられたのみである。そのため、鈴木さんはアルバムとは味わいの異なるオケを作られてツアーに臨まれた。 オープニングの「SILENT NIGHT」では果てしなく広がるようなストリングスの大河の中からチャイムの響きが時を告げる。そして、降り注ぐ光のようにHAMMOND 44のリードサウンドが主題を歌う。「JOY TO THE WORLD」ではリバーブたっぷりのパットサウンドの中をグロッケンが泳いでゆく。時間をかけて、時間を忘れてHAMMOND 44の旋律へと誘う。それを聞く人たちはホールの大きな窓に映る景色と同化して音楽に飲み込まれていく。とても雄大な鈴木さんの音楽観であるが、そこには難しい解釈などは必要なく「歌う」という原点のみが存在している。 「HAMMOND 44という楽器のおかげで新たな方向性を発見された。」と語られる鈴木さんであるが、我々も「歌う」という楽器の本質を見つめ直す機会をいただきました。2010年、更なる飛躍を楽しみにいたします。 |
date 12月13日(日)/ place 原宿 クロコダイル
musicians 関藤彰子(flute) とりのでんすけ(鍵盤ハーモニカ&key) 藤枝暁(guitar) 野々口毅(bass) 安井希久子(percussion) 今年の春にでんすけさんと出会ってからDRASCOのライブに足を運ぶのは4回目となった。今回の演奏は老舗のライブハウス「原宿クロコダイル」、少し高めのステージはレトロさの中にミュージシャンの聖域を感じさせている。そして、バックに君臨するワニはどれだけのミュージシャンのサウンドを飲み込んできたのだろうか。今夜も口を大きく開けて開演を待っている。
ショパンの「ノクターン」でスタートした今夜のライブ、テーマを弾いたのは藤枝さんのギターだった。まろやかなガットの響きが師走の慌しさを忘れさせ、まだ来ぬ春の日差しを感じさせてくれる。そして、テーマは安井さんの軽快なリズムに誘われて、でんすけさんのピアノ、野々口さんのベースへと引き継がれていく。関藤さんのフルートが歌い上げていく中、でんすけさんが背負っていたHAMMOND 44を持ち替えて掛け合いが始まる。 DRASCOを初めて聴いたときの衝撃がこのサウンドだった。HAMMOND 44とフルートの絶妙なからみが音のスピードを加速させている。エキサイトするとお互いのピッチが離れていく特性を持つ楽器のデュオであるが、不自然な響きも何時しか心地よい響きとなって終止をむかえる。しかしながら感心させられるのは、キーボードを叩きながら安定しないHAMMOND 44を操るでんすけさんの妙技である。
DRASCOのライブに足を運ぶたびに感じるのは居心地の良さである。何だか聴いている側が主役になれるような、とても不思議な気分になるのである。そんな時、スナフキンのような雰囲気で多くを語らずに黙々とギターを弾いている藤枝さんに目が留まった。ステージを見渡してみるとDRASCOのメンバーたちがムーミン谷のキャラクターと重なってくる。意識してゆっくりとMCを務める野々口さんはスニフ、常に蝶を追いかけているヘムレンさんのようなでんすけさん。安井さんのパーカッションはミーの言葉のように小気味良い。関藤さんは・・・、吹いていないときも音楽を作っている。ニンニのようなキャラクターかな・・・。主役のムーミンたちは聴いている人すべてが演じている・・・、と勝手な妄想についつい浸ってしまうのであった。
「今年1年の集大成」、と野々口さんが口にされた演奏は2009年のDRASCOとしての活動を完結するのにふさわしいものであった。バンドとして未完成の中に秘めた可能性、それが聴くたびに霧のはれるように姿を現してきた。調和と破壊を繰り返しDRASCOとしての音楽が完成されていく。初めてのときはでんすけさんの高速プレイに目を奪われ関心が集中したのだが、今となってはそのプレイもDRASCOの一場面にしか過ぎなくなっている。鍵盤ハーモニカという楽器を取り上げ、それを音楽として昇華させていったメンバーたちの1年に感謝の気持ちでいっぱいである。2010年、DRASCOが新たなページを開くことを楽しみにしています。 |
7月に紺野紗衣さんから普天間かおりさんのライブ「鍵盤ナイト〜普天間かおりとSix Hands〜」にお誘いをいただいた。このときは3人のピアニストがピアノ、エレピ、ハモンドオルガンとHAMMOND 44、アコーディオンを演奏し、文字通り6本の手で普天間さんと音楽を紡ぐライブであった。透明感のある普天間さんのボーカルとピアニストたちの繊細なタッチのキーボードプレイが絡み合うアコースティック感を満喫したひと時だった。その時、紺野さん、宇戸俊秀さんとともに出演されていたのがピアニストの倉田信雄さんだった。
楽器フェアの開幕した11月5日、新製品の発表とは別に向かった先はアクトシティ浜松、リハーサルを終えた倉田さんは笑顔でステージに招かれた。倉田さんのセットの中心はもちろんグランドピアノである。その上にはトライトンがマスターキーボードとして置かれ、脇にはノードとモチーフが並べられている。オルガンサウンドはノードを使用されており、後ろに置かれたLeslie2101に接続されている。「小さなLeslieだけど、これがあるおかげでオルガンらしい演奏ができています。」と、お褒めの言葉をいただいた後、念願の写真を撮らせていただきました。 HAMMOND 44が演奏されたのは「勧酒〜さけをすすむ〜」の時だった。特別なエフェクトを通しているわけではないが、ラインを通した倉田さんのリードサウンドは格別なものであった。低音から高音までフラットに増幅されるHAMMOND 44は楽曲とほどよく溶け合い、暖かく全体を包み込むリードの響きであった。別の場面でマリンバの宅間久善さんの演奏したPRO-37v2はソロパートを担うきらびやかなリードサウンドで、マイクとの距離感を感じられる演奏だった。鍵盤ハーモニカも場面ごとに特色を持ったプレイができるようになったことを実感させられた。 話し上手なさださんのトークに笑わされ、バンドの奏でるイントロで音楽に誘われ、さださんの詞の世界に引き込まれていく。夢幻のごとく時間が過ぎ終演をむかえた。たった1曲ではあったが、「秋桜」を弾いた指で奏でられたHAMMOND 44の演奏はいつまでも耳に残る晩秋の響きとなった。 |

















