暑かった今年の夏、メロディオンの50周年にちなんだイベントが各地で行われました。山野楽器さんの銀座本店、横浜センター店には山本泰照さん、ヤマハミュージック東海さんの名古屋店にはFlying Doctorが。そして、石橋楽器店さんの心斎橋店、神戸三宮店にはポロッコリーが登場して、素晴らしい演奏を聴かせてくれました。
date 7月24日(土) /
place 山野楽器 銀座本店
musician 山本泰照
この日の銀座は気温35度、猛暑という言葉では片付けられない暑さだった。アスファルトの照り返し、無風状態の歩行者天国、そのような炎天下で演奏してくれたのが鍵盤ハーモニカの伝道師・山本泰照さんだった。
「でんすけさん、暑くないですか?」
「いやいや大丈夫ですよ。僕より皆さん大丈夫ですか。」
自分のことより常に周囲への気配り、本当に魅力的な方ですね。彼の朗らかなオーラに包まれるようにでも演奏はスタートした。山本泰照さんが使用したのはHAMMOND 44 HYPER、現在彼が最もパフォーマンスを発揮できるとして愛用されているものだ。最初は個性的なキャラクターに戸惑われたようだが、楽器と心が通じ合うようになるとHAMMOND 44以上に豊かな表現力が可能。と絶賛されていた。
この日は伴奏を用意されJAZZのスタンダードナンバーを熱演された。体中の空気を搾り出すようにして鍵盤ハーモニカに息を吹き込み、全身を使って弾きこんでいく彼のプレイスタイルは、常に楽器と正面から向き合っている。そのような演奏だからこそ子供たちも足を留めて「あれってピアニカ?」と呆然と見つめてしまう。学校の教材ではない楽器としての鍵盤ハーモニカを見せられたのだ。
「僕が鍵盤ハーモニカに関心を持ったのは、いつでもどこでも音楽ができるからです。ギターとか管楽器、パーカッションなどは集まるとすぐにセッションが始められるけれど、鍵盤楽器は楽器を持ち出すのが難しい。ある時、野外でセッションしている人たちがいて鍵盤ハーモニカを使っていたのです。ちょっと借りて参加してみるととても楽しいじゃないですか。その日から鍵盤ハーモニカの虜になりました。」
このような鍵盤ハーモニカとの出会い方をした山本泰照さんだからこそ、日傘の花咲く盛夏の銀座でも元気印の演奏をお届けしていただけたのでしょう。この翌週は横浜センター店に会場を移して素晴らしい演奏を披露していただきました。
date 7月25日(日) /
place ヤマハミュージック東海 名古屋店
musician Flying Doctor
元気印では誰にも負けないのはFlying Doctorの面々たち。とにかく、4人集まるとおしゃべりが止まらない彼女たち、そんな彼女たちを黙らせるのはメロディオンだけなのでしょうか。今回のステージは広小路ヤマハホール。少しは緊張しているかと思えば、綺麗なテーブルを見つけて記者会見ごっこ。絵に書いたような天真爛漫ぶりですね。しかし、そんな彼女たちだからこそ届けられるHAPPYがあるのです。
この日はワークショップとコンサートの2本立て。ワークショップでは子供から大人まで幅広い参加者相手にメロディオンの楽しさを伝えようとchi−chan企画による「かえるのうたのアルゴリズム体操」を。輪唱の形式で身体表現が加わるからとても複雑のようだけど、実際にやってみると拍に合わせて自分の動作をするだけ。みんなの動作が重なると面白くなる。アンサンブルの基本ですね。
楽しいワークショップの後は彼女たちのコンサート。ちょっと緊張気味のワークショップとは一転、照明付きのステージでFlying Doctorの本領発揮。水を得たマーメードたちはお得意のナンバーを奏ではじめる。「エレクトリカルパレード」「ルパン3世」「ラプソディー・イン・ブルー」、ライブで磨かれた彼女たちの上達振りは目を見張る。HAMMOND 44を持って2ヶ月、最初はうつむいて演奏していたYUIPUもアンデスのマウスピースを使うことで丁度よいポジションを見つけたようだ。些細なことだが演奏している姿からも自信が伝わってくるものだ。
ホールいっぱいにHAPPYを届けた彼女たち、最後は満面の笑顔で記念者写真を。
date 8月29日(日) /
place 石橋楽器店 神戸三宮店
musician アンサンブル ポロッコリー
残暑厳しい…というよりも、終わらない夏、訪れない秋だったのでしょうか。本当に異常気象だった夏を締めくくったのはアンサンブル ポロッコリーのお嬢さんたちだった。1週間前には心斎橋店で、そして今回は神戸三宮店へ場所を移しての演奏です。
元祖ビジュアル
(を大切にする)系鍵盤ハーモニカアンサンブルの彼女たち、実ににぎやかなデコレーションと暑さを忘れさせるような涼しげな衣装ですね。肩も露わなメンバーたちの中で抜群の存在感を誇る大和撫子は賀容子さん、アンデスマウスピースがトレードマークです。テーブルカスタネットを足で鳴らしながら鍵盤ハーモニカを演奏したり(メロディオンを吹きながら靴も脱いでいます。)、鍵盤ハーモニカを持ったままアンデスを演奏したり、とてもアグレッシブなプレイで人数以上の演奏効果を可能としています。
でも、ポロッコリーの本当にすごいところは鍵盤ハーモニカを知り尽くしたアレンジですね。今回、初めて聴かせていただいた2本のHAMMOND 44 HYPERを使った「ビタースィートサンバ」と「小象の行進」。今までのアカデミックなイメージを払拭させられました。圧巻だったのは「小象の行進」、冒頭のブルージーなHYPERのソロ、バスマスターとHAMMOND BBによるベースライン、トロンボーンのようなHYPERの低域でのブロックコード、そしてアンデスによる脱力アドリブ。サプライズの連続には白旗を揚げる以外ありません。この独創力はどこから来るのでしょうか。
普段は小室スタイルと称してバスマスターとトイピアノを担当しているAIちゃんがHAMMOND BBで加わって演奏した「ふるさと」。メロディオンカルテットのリードの響きは清水のように心に染入る思いでした。様々な環境問題が議論されていますが、その根底には「ふるさと」を大切に次世代につなげていくこと。言葉では難しくても音楽は素直に心に響きます。これからもメロディオンが人々の思いを伝えられる楽器でありたいと感じさせられた演奏でした。
この夏、メロディオンフェアを開催していただきました楽器店の皆様、本当にありがとうございました。