date 2月18日(金) /
place Blue Note Tokyo
4名の日本人アーティストが受賞した今年のグラミー賞、本当に嬉しいニュースでした。そして、その感動に沸く中来日したのがグラミー賞最優秀新人賞を手中にされたEsperanza Spaldingだ。ベーシストとして、ヴォーカリストとして高い評価を集めるだけでなく、とてもチャーミングな女性でもある。天は全てを彼女に与えるのだろうか。
今回訪問したのはエスペランサの来日公演がおこなわれたブルーノート東京、エスペランサのバックでピアノを弾いているレオ・ジェノベーゼはHAMMOND北米担当者の親友である。そのせいなのか、まるで自分がグラミー賞を手中したかのように誇らしげな足取りで「表参道」で地下鉄を降り、いつもの「B-3」の出口を駆け上っていくのだった。
ベースという楽器の概念を覆すような独創的だったエスペランサのステージ。自身の部屋を演出するようなステージで珠玉の音楽が綴られていく。甘く絡みつくようなエスペランサのボーカルと鼓動を刺激するベースパート、サポートしているのはレオのピアノと3名のストリングス、そしてドラムとコーラス。最新作「Chamber Music Society」の世界が広がっていく。レオのピアノの上にセットされているHAMMOND 44は勿論、「Wild Is The Wind」で演奏するためのものだった。歌姫エスペレンサと絡むリードの響きはアルバムの中でも十分すぎるほどの存在感である。
ファーストセットが終わると控え室への通路の前でレオが探している。近寄っていく我々を発見した彼は待ちきれないのか、人ごみを掻き分けてやって来る。
「やぁ、よく来てくれたね。嬉しいよ。浜松は遠いのかい…、新幹線、ワォ、僕も乗りたい。今日は泊まっていくの…、じゃあ、ゆっくりできるね…。」
陽気なラテンボーイのおしゃべりが途切れたのはお土産のHAMMOND 44 HYPERを手にしたときだった。夢中になってスケールを弾く。ステージでは聴くことのなかったファンキーなサウンドである。
「ありがとう。最高だよ。次はこれを使うね。」 と、言い残すと満面の笑顔で控え室へと消えていった。
セカンドセットの「Wild Is The Wind」、レオのサウンドが変わったのは言うまでもない。エンディングでリードとユニゾンでシャウトするエスペランサの声に野生の響きを感じたのは我々だけだったのだろうか。レオが投じたリードの生音はあまりにも大胆に、そして繊細すぎるほどに心の明暗を映し出していた。