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REPORT/Brian Auger's Oblivion Express2007/02/19

date
2月12日(月祝)
place
東京・DUO Music Exchange

 ナムショーで偶然出会ったのはUK Jazz/Rock界の至宝、ブライアン・オーガー氏。ハモンドのニュープロダクツを楽しまれた後、「来月、日本に行くよ。よかったら遊びに来ないか。」 と声をかけていただきました。キャリア40年、レッド・ツェッペリン、クリーム、ザ・フーなどのトップアーティストと共演されたプレイは何より、レスリーを回さないオルガンプレイは是非にも体感したいもの。即答、「絶対お邪魔します。」 と応じたのでした。
 1人で行くのも味気ないと思い、常日頃お世話になっている河合代介さんをさそったところ、「いいですよ。しかし、ぼくよりも文明さんのほうがブライアン・オーガーのこと大好きですよ。」 とのお返事。それならば3人で伺いましょうと、「For Jimmy」 の疲れも癒えないまま渋谷へと出掛けたのでした。

※写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます。

 ブライアン・オーガー氏単独の来日は今回が初めて、ドラムには息子のカルマ、ヴォーカルには娘のサヴァンナを迎え新生オブリヴィオン・エクスプレスとしてのステージです。B-3の上にはコルグのエレピをセットして、右手でアッパー、左手はエレピという変則的なスタイルでのプレイ。歯切れの良いバッキングと高速パッセージの組み合わせは圧巻、まさにオブリヴィオン、決して忘却されることのないサウンドです。ブライアンのお家芸、「ドクドクドクドク・・・・・」 という高速打鍵も健在。それ以上に印象的なのは突き抜けるような、どこまでも真っ直ぐなオルガンサウンド。はるか彼方まで疾走していきます。

 ファーストセットを終えて挨拶に伺うと、「最後のナンバー『ブレイン・ダメージ』は君たちへのプレゼントだ。楽しめたかな ?」 と出迎えてくれ、私たちとの対談に突入するのでした。

河合さん
はじめまして、お会いできて光栄です。「ブレイン・ダメージ」、脳天に突き抜けました。こちらの小川文明さんはブライアンスタイルのバンドをしているんですよ。
文明さん
はじめまして、SUZY CREAM CHEESEというギターレスのバンドをしています。ブライアンさんのオルガン、昔っから好きで聴いていたんです。今日はとてもハッピーです。
ブライアン氏
ありがとう。よく来てくれた。全米でも、ヨーロッパでもたくさんのオルガンプレイヤーたちが俺のショーを見に来てくれる。最近は若い世代が特に多い。60〜70年代のビックネームだったころのハモンドが復活してきた。勢いを感じるね。

ハウスミュージックもプロクラミングされたものからリアルな音楽に変わってきた。そう、ファンク、アシッド・ジャズで踊る。エキサイトする。1969年頃の感覚が蘇ってくる。昔を知らない若い世代からもリスペクトされていることを肌で感じるんだ。何故って、みな俺のことを「アシッド・ジャズのゴッドファーザー」と呼ぶから。(笑)

文明さん
コーデュロイやスタイル・カウンシルのような・・・?
ブライアン氏
そうだね、いろいろなジャンルに俺のファンはいるよ。たとえば、ビースティ・ボーイズのファンも俺のショーに来て楽しんでくれるよ。スタイルは違っても共通のものを感じてくれているんだね。

文明さん
ところで、どうしてレスリーは使わないのですか。
ブライアン氏
実は使っていたんだ昔は、それも2台持っていた。しかし、ホーンが回っているとパーカッションの音が聞こえない。だから、手で止めたんだ。すると、「これだ !」と気がついた。速いパッセージにロータリーサウンドは必要なかった。大きくて重たいだけだった。(笑)
ルミニーでショーをしたとき、「君のオルガンにベストマッチのスピーカーを準備しよう。」 という人物が現れた。大きな2つのスピーカーキャビネットに6個のスピーカー、そして、250Wの2つのアンプ。驚いた。彼からの要求されたのは、「ハモンドの出力を20%下げてくれ。それでなければ君のクリーンなサウンドは生かせない。」 だった。彼のおかげで俺は素晴らしいサウンドを得た。彼の名前はロマノ・ロンバーディ、ルミニーではゴッドと呼ばれている人物だった。
文明さん
河合さんの尊敬するジミー・スミスとはまったく違うサウンドですね。
ブライアン氏
ジミーは代介のファーザーなんだな。(笑) ジミーは偉大だ。オルガンプレイヤーは彼のサウンドに憧れ、近づこうとする。しかし、俺はそこから抜け出したかった。自分のオリジナリティーを求めていたんだ。とても難しいことだけれど。俺の見つけたプレイスタイルは絶えずドライブするためにパーカッションをかけていく。ジャズとは違うファクターが必要なんだ。
文明さん
実は今、河合さんから足ペダルを習っているんです。

ブライアン氏
そうか文明、それはいいことだ。自分の演奏技術を追求することは大切なことだ。ジャズプレイヤーはこう、「ディン ディン ディン ディン」(左手と左足を動かしながら)、俺の場合は、「カッコ、カッカッコ カッコ」 だからベースプレイヤーが必要なんだ。(笑) しかし、シャーリー・スコットはすべて自分でやっている。リッチー・グルーブホーンも上手に足ペダルを使う。

河合さん
そうですね。ところでハモンドとの出会いを聞かせてもらえますか。
ブライアン氏
やはり、最初はジミーだった。レコードショップのスピーカーから素晴らしい音が聞こえてきた。「これは何のレコードだ。」 と店員に尋ねたら、ジミーのレコードジャケットを見せてくれた。ブルーノートレーベルの最初の録音だった。そして、「これは何の音なんだ。」 と再び尋ねた。 勿論、答えはオルガンだった。教会のオルガンしかイメージのない俺にとって、彼のサウンドは衝撃的だった。シアターでせり上がってくるオルガンなら聞いたことはあるが、ジャズの演奏など思いもよらなかった。
それがきっかけで俺はハモンドを買った。L-100だった。しかし、ジミーと同じ音が出ない。何故なんだ。私は夢中になって探した。それでも分からなかった。あるとき、ニューヨークから帰国した仲間がジミー・マグリフのアルバムを持ってきた。ジャケットには彼がステージで大きなオルガンを弾いている姿が。そう、B-3だ。
私は急いで楽器店に行った。「B-3が欲しい」、しかし、当時の英国ではB-3は扱われていなかった。それでも欲しいから、ボルテージ変更をしたものを取り寄せてもらった。10週間後に届けられたB-3を弾いたとき、それは天国だった。(笑)
文明さん
キース・エマーソンもL-100を使っていましたね。

ブライアン氏
彼はジャック・マクダフの影響を受けているね。
文明さん
キースはジャック・マクダフよりも強烈なサウンドが欲しくて、ハイパワーのアンプと122をダブルで使っていたんですよね。(水を得た魚状態で)

ブライアン氏
詳しいね、文明は。(笑) ジョーイ・デフランチェスコもレスリーを2台とハイパワーアンプを使っているよ。
文明さん
河合さんもレスリーを2台使っていますよ。
ブライアン氏
代介、重くないか ? (笑)
1928年にローレンス・ハモンドが発明して、1934年に発売した。40年代には誰もがこんな音が出るとは想像できなかっただろう。
約70年が過ぎ、ハモンドを模したオルガンやモジュールもある。レスリーで回してしまえば違和感のない音も、コーラスだけで聴いてみるとどれもいただけない。合っていないんだ。
文明さん
あなたのプレイにはコーラスは重要なファクターですよね。
ブライアン氏
その通り。80年代以後、全米やヨーロッパをツアーしてもコンディションのいいハモンドに出会わなくなってきた。仕方ないから他のオルガンやモジュールも試した。やはり違う。英国に戻って自分のハモンドを弾くと落ち着いた。コーラスが気持ち良い。この前もナムショーでハモンドを試したとき、どうせデジタルだろうと思っていたが、気持ちいいじゃないか。コーラスの長さも。ハモンドサウンドの蓄積が大切にされている。素晴らしい。
話は変わるが、先日ピッツバーグでのショーに黒人のファンが遊びにきた。いつも通りにハモンドを弾いていると、「この楽器は何ですか。」 と尋ねてくる。ハモンドオルガンを知らないんだ。「教会に行けば見られるだろ。」 と言っても、帰ってくる答えは「いや、知らない。」 だった。 ローレンス・ハモンドは教会でのビジネスも上手だった。パイプをドローバーで再現する技術は画期的だった。そして、女性オルガニストの足が演奏中に見えるのは良くないからパネルで囲ったC-3を作った。これは本当の話だよ。(笑) 話はそれたが、最近はハモンドの人気が高まっていて、教会のハモンドが中古市場に流れている。だから、若い世代がハモンドを知らない。しかし、そのサウンドには貪欲だ。
文明さん
日本でもハモンド人気は高まっています。先週も河合さんが発起人となってジミー・スミスのトリビュートライブを開いたんです。オルガンが3台、レスリーは7台用意して。

ブライアン氏
素晴らしい。代介は何を弾いたんだ ?
河合さん
What’s Newをソロで弾きました。
ブライアン氏
すごいね。文明は ?
文明さん
Work On The Wild Sideを。
ブライアン氏
最高だね。ジミーとは3年前、息子のカルマを紹介したのが最後だった。
俺は今、ロスに住んでレコーディングをしているけれどライブのほうが好きだ。今もこうして息子や娘と同じステージに立っている。最高にハッピーだね。オーガー・バンドとしては今回が初めてだが、1978年のトニー・ウィリアムズとのツアーが初来日だった。
文明さん
行きましたよ。それ。高校時代に。(キラキラと目を輝かせて)
ブライアン氏
テニスコートまでか、ジャパンオープンの
文明さん
そう、有明コロシアムまで。
ブライアン氏
ロニー・モントロールも一緒だった。セカンドセットからビリー・コーラムが参加して・・
文明さん
ドラム合戦でしたね。覚えています。・・・あっ、すいません。僕ばかり喋ってしまって。

河合さん
いいですよ。(笑) 時間もなくなってきたので、最後の質問です。あなたがもっとも好きなオルガニストを教えてください。
ブライアン氏
勿論、ジミー・スミスだよ。代介と同じだね。
河合さん
(笑)
ブライアン氏
ジミー・マグリフのゴスペルスタイルも見事、ジャック・マクダフ、シャーリー・スコット、リッチー・グルーフォーン、・・・みんな偉大だ。ジミーもビックバンドのときは足ペダルのことを考えなくていいから、アグレッシブなキーボードプレイだったね。
若い世代ではジョーイ・デフランチェスコかな。ジミーみたくかっこ良くプレイする。ジョーイとジミーはギターで言うとジョージ・ベンソンとウェス・モンゴメリーみたいな関係だね。一つの世界を創造した人と、今現在それを広めている人という。
他にも、トニー・モナコも、キース・エマーソンも友達だ。そして、ジョン・ロードも。

文明さん
僕も大好きです。ブライアンと同じぐらい。(笑)
ブライアン氏
調子いいな。(爆) 今日は来てくれてありがとう。まだまだ話がしたいけど、次のステージがあるからこれで失礼するよ。
河合さん
貴重な時間をありがとうございました。セカンドステージも頑張ってください。

 私たちを快く迎えてくれたブライアン・オーガー氏、ハモンドへの思いをたくさん語っていただきました。取材後、ハモンドスタッフジャンパー(Lサイズ)にサインをしていただきました。抽選で1名様にプレゼントいたします。是非ご応募してください。締め切りは3月15日(木)正午まで、発表は発送を持って替えさせていただきます。



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