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REPORT/トニー・モナコがやってきた2007/10/11

date
9月30日(水)
place
モーション・ブルー・ヨコハマ
musician
Tony Monaco(org)、敦賀明子(org)、金子雄太(org)

 「トニー!何処でそんなこと覚えたの。」と驚愕したのは『戸二 文何個』とサインをしたときのこと。「昨日、ヨースケに教わった。」と胸を張る。可笑しな当て字を作ったのはどうやら小沼ようすけさんらしい。モーション・ブルー・ヨコハマ初日はご機嫌なステージを務めたトニー。2日目もリハーサルからテンションがあがりっぱなし。「みんな、もっとクレージーに楽しもうぜ。」と爆音でnew B-3に鞭を打ち、レスリーが悲鳴をあげる。これだけのプレイヤーがなぜ今まで日本に来なかったのか。初来日の瞬間に立ち会えたことを幸せに感じるのであった。

※写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます。


 ステージに並ぶのは3台のハモンドオルガン、向かって右側には金子雄太さんの愛器Porta B-3、中央のXK-EVOLUTIONは敦賀明子さん、左側のnew B-3はトニー・モナコが今夜の主です。昨晩のオルガントリオとは一転、本当に珍しいオルガンだけのトリオです。
 最初はソロの演奏から、トップは日本代表(最近ではアジア代表)の金子雄太さん。いつもながら惚れ惚れするような静かな所作でオルガンに向かいます。共演者の顔ぶれもあるのでしょうが、クールなプレイスタイルも今夜は武士道をイメージするようなオーラを感じます。「Cherokee」の速い旋律にも無形の美しさが現れるような、無駄の無いお手前です。


 次に登場したのは敦賀明子さん。コテコテの大阪とコテコテのニューヨーク、日米のオルガンの本場を故郷とするスィング・クィーンです。彼女の奏でる横揺れのブルースは絶品、お客様も聴いているだけで体が左右にグラインドするような演奏です。「ソロで弾くのめっちゃ楽しいわ」と言って彼女が選んだのは「アリゲーター・ブーガルー」、ルー・ドナルドソンのエピソードを語りながらハーレムの風を送ります。


 最後は今夜の主役、トニー・モナコ。派手なジャケットでの登場です。「トニーって右手の小指で重心を取っているのかな。」と注目しているのは金子雄太さん。高速プレイになると3本指で鍵盤を駆け巡りながらも、水平を維持しています。楽屋ではデジタルのセッティングついて語り合ったトニーと金子さん。お互いの探究心は留まるところを知りません。


 ステージのトニーは顔から汗を滴らせ、大きな手でフルドローバーの鍵盤をつかむ。派手なアクションとは裏腹に1音1音が繊細に奏でられる。擦る、引っ掻く、たたく、「昔はファンクバンドにも居たんだよ。」と言っていたことも肯ける彼のプレイはオルガンそのものを知り尽くしている。圧巻なのは歌、彼のボーカルとオルガンが溶け合うとき、ハモンドは新たなトーンジェネレーターを与えられる。デリケートなまでにソフトなサウンドが生まれるのです。


 「ユータ、アキコ、早くおいで!」と急かすようにステージに呼び込むトニー、セッションが待ちきれないのです。堰を切ったように流れ始めるブルースはオルガンサウンドのみ。あまりにヒートアップするトニーのプレイに敦賀さんも風を送ります。反対側には自らのプレイスタイルをまったく崩さない金子さん。アニメのルパンと五右衛門ような対極です。…となると当然、フジコも登場してきますね。お互いを信頼しあえるから作り上げられる音楽、アニメさながらの趣です。


 一夜限りの奇妙なオルガントリオは怒涛の勢いでモーション・ブルー・ヨコハマを駆け抜けたのですが、彼らがそこに残したものは、同じオルガンでもプレイヤーのキャラクターによって異なる楽器になること。同じ楽器だからこそ、人間同士のアンサンブルが求められること。そんな当たり前なことが如何に素晴らしいかを私たちに感じさせていただく一夜でした。


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