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REPORT/Dr.LONNIE SMITHがやってきた。ROGER SMITHもやってきた。 2008/06/03

※写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます。

 帰省中の河合代介さんをお誘いしてドクター・ロニー・スミスに会いに大阪まで。今回は70年代のファンク全盛期を支えたトロンボーン奏者フレッド・ウェズリーのファンク・オール・スターズのメンバーとしての来日です。
 大阪のホテルで暫し待っていると、ご自慢のステッキを片手にドクターが登場。横にはワイエスコーポレーションの山本社長。ドクターの連発する「なんだってー」もこの方が指南したようである。オルガン関係で来日したミュージシャンにけったいな日本語を教えているという噂は本物らしい。今回もドクターの好物の親子丼で手なずけているようだ。


 再開の挨拶をすませた後はジョークのオンパレード。時差と睡眠不足もあるのだろう、「ねむい」と言ってソファに横たわる。その横で山本社長が添い寝する。狸寝入りの日米対決である。さてさて、どこで本題に切り出そうかと思っていると、河合さんがおもむろにパソコンを取り出し往年のジミー・スミスの演奏を見せる。
 「彼は偉大だった。生前、彼の家にも遊びに行った。私は疲れていて食事のとき転寝をしてしまった。すると彼は、『Get up !』と私を起こした。彼の葬儀のとき、静かに眠っている彼に『Get up !』と私は叫んだ。しかし、彼は目を開けてくれなかった。」 とドクターは目を伏せる。そして、その後は時間を忘れるようにオルガン談義に興じる。
 この後、ビルボードライブ大阪に席を移してドクターのライブを鑑賞する。ジェームス・ブラウンの魂を継ぐファンキーなミュージシャンたちの集結したステージは圧巻である。貫禄たっぷりのソロ回し、分厚いサウンド、そしてグルーブ、酔わせるツボはすべて心得ている。そのような中でもドクターのハモンドオルガンはひと際鮮やかな色彩を放つ。
 ドクターの演奏に耳を奪われていると、「この低音聞いてくださいね。ドクターのすごいところは、左手と足のコンビネーションです。この重たいサウンドはまねできませんよ。」と河合さんが解説される。なるほど、ファンキーなサウンドの秘訣はベースラインにあったのだ。

 ライブ終了後にはドクターに招かれて楽屋で山本社長の秘蔵っ子プレイヤーの松本理恵子さんと記念撮影。ご機嫌なドクターは「今日は良く来てくれた。明日はオフだからカンパニーに遊びに行くぞ。」と笑いかける。ランチにうなぎを誘うと、「なんだってー」ととぼけながらも、「前に行った店はうまかった。」と舌を出す。本当に陽気な巨匠である。

 翌日はもう一人のお客様、ロジャー・スミスも浜松に。ドクターを尊敬しているロジャーは新幹線を降りてくるなり、「どうしてあなたがここにいるんだ。」と目を輝かせ、ドクターに問う。すると、「もちろん君を待っていたのさ、私の息子を紹介したくて。ダイスケだ。よろしく頼む。」と言って河合さんを紹介する。破天荒な対面ではあるが、日米のトップオルガニストの対面に胸が躍る。


 鈴木楽器製作所に着くなりドクターが興味を持ったのは大正琴だった。ハモンドオルガンの置いてある部屋に誘っても動こうとしない。「これをショーケースから出してくれ。どうしても弾いてみたいんだ。」と駄々っ子のようなドクターであるが要望に応じると摩訶不思議な音を奏で始める。シタールである。鍵盤を浅く押さえて左右に揺らしながら独特な音程を作る。「これは私のためにあるような楽器だ。もうハモンドオルガンは弾かない。」と真顔で言い出す。そして、ロジャーと大正琴セッションを始める。これには挨拶にあらわれた鈴木萬司会長も驚きを隠せません。

 寄り道の後は本題のハモンドオルガンに。今回ドクターが興味を持っていたのはXK-3cのロータリーシミュレータだった。ニューヨークのクラブではハモンドオルガンの状態があまりにも悪く、最近ではXK-3を持ち運ぶようになったドクターの目下の悩みはレスリースピーカーだ。軽くなくては持ち運びできるものがないため、某社のレスリーシミュレータからキーボードアンプを鳴らしていることもあるらしい。


河合さんから一通りのレクチャーを受けた後一心不乱にXK-3cを攻め込むドクター。昨夜のショーと同じテンションである。そして、一通り弾き終えて、「XK-3cのデジタルレスリーはアンビリーバブルだ。これさえあれば、たとえレスリーが故障しても大丈夫。全てのオルガンプレーヤーは、XK-3cは常に1台持っておくべきだ。」 と絶賛する。そして、「君も弾くべきだ。」 とロジャーに席を譲る。


 「俺には600ワットのレスリーがあるからな。」と笑いながらロジャーも弾き始める。はじめはnew B-3と比較するような素振りであったが突然スイッチが入るように演奏が変わる。本気モードだ。「これはすごい。New B-3を超えたサウンドだ。」と音源に関心を示す。河合さんが設定を触り始めると顔が紅潮していく。そしてロジャーの「パーフェクト」を合図にセッションがスタートするのだった。


 怒涛のオルガンセッションもドクターのタイムリミットにより終焉をむかえる。 「世界中をツアーしてきたが、程度の良いトーンホイールオルガンとレスリーに出会えるチャンスはごく稀だ。ちゃんとしたオルガンとレスリーが準備できないクラブでの演奏依頼を最近は断るようにしている。今後、世界中に信頼のおけるハモンドスズキ製品がどんどん増えていく事を願っているよ。ハモンドスズキ製品の品質は常に向上している。素晴らしい事だ。」 とドクターは語り、「ハモンドスズキはファミリーだ。今後もいつでも連絡を待ってるよ。」 と言い残して旅立っていった。そして、ハモンドエンジニアに新しい課題を与えることを忘れなかった。


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