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REPORT/爆音、轟音、元祖ロックオルガン!2009/03/10

date
2月21日(土)
place
サンフォニックス・ホール in 横浜アリーナ

※写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます。

 超ご機嫌なオルガンを奏でてくれるキーボーディストの川村ケンさんから、「今度、ぼくの師匠のライブがあるのですけど、行きませんか。」とお誘いを受けた。「おまけにすごい楽器が揃っていますから。」と好奇心をそそられる。迷っている場合ではない。行動あるのみ… ということで、横浜行きを決意したのだった。手ぶらでというのはいささか憚れるためLeslie2101mk2のモニタリングを申し入れ、到着した現場には想像を絶する世界が待ち受けていた。


 極上のC-3をはじめとするビンテージキーボードの数々、異彩を放つブラックなメロトロン。Leslie122の上にマウントされたLeslie147と2段積みのVOX。そして、機材にプリントされている「REI ATSUMI」のロゴ。そう、川村さんが師匠と仰ぐキーボーディストこそ、ロックキーボードの教祖・厚見玲衣さんだったのです。


 随所に渡りカスタマイズされた厚見さんのC-3、スプリングリバーブは勿論のこと、エフェクト用の端子もいろいろと設けられている。曲によってはLeslieとVOXの双方が唸りをあげるのだ。そして何よりそそられるのはアクリル製のバックパネル、トーンホイールが観賞できるのだ。色とりどり配線と、ほのかに灯るチューブ。奥では91枚のトーンホイールが回っている。いつまでも眺めていたい光景です。


 「もう何も言えない。」という気分でステージ上を只々眺めていると、川村さんから厚見さんを紹介されるのだった。楽器群を見ているだけでまいっているのに、ご本人が登場されてしまったのでは…、真っ黒なメロトロンさえ真っ白に見えてくる思いである。そして、そんな動揺を吹き飛ばすかのように厚見さん師弟はLeslie2101mk2の試奏を促すのであった。
 「今使っているLeslie 2101も良く飛ばしちゃって、いろいろと無理を聞いていただきました。対応していただいてからは大丈夫です。」と機材の中のLeslie 2101を指差す。厚見さんのLeslie 2101はホーンドライバーをP仕様にして、フットスイッチの設定をカスタマイズしてあるのである。今回はP仕様よりも耐久力を向上させたLeslie2101mk2のホーンドライバーを試してみようというのである。


 「オーバードライブはオフってください。」と言って用意されたのはALESISのNano Varb。「ぼくもこれを使っていますよ。ラインの出力をさらに増幅させるのです。」と川村さんが説明される。そうなのです。本物を知る人たちはスピーカーへの過入力による歪みを求められるのです。これでは、Leslie 2101のホーンドライバーは持つわけがない。
 暫くサウンドを確認するかのように弾かれていたのだが、突如厚見さんのスイッチが入りロックオルガンの音色が広がる。試奏なんて言葉で片付けられる演奏ではないのだ。「すごいですね。下3本でこれだけ上が聞こえてくる。ありえないですよ。」と弾んだ声で厚見さんが感想を述べられる。最高の褒め言葉をいただいた。Leslie2101mk2は低域がしっかり鳴ることで中高域の支えが強化されているのである。高域を生かすための低域の存在を絶賛されたのだった。
レスリーユーザーの皆様には過入力によるスピーカーの損傷は自己責任であることをご理解いただきたく存じます。


 厚見さんの厳しいチェックをクリアしたLeslie2101mk2は2階建てのLeslie122&147の上に積み上げられリハーサルがスタートする。厚見さんのキーボード群は音が厚い。アナログ独特の音圧がひしひしと伝わってくる。現在のデジタルキーボードのように押せば音が出るというものではなく、楽器の特性によって鳴り方の異なる楽器たちである。当然のことだがキーボードへのタッチもそれが反映されてくるのである。「本物を知る」ということは「本物を鳴らせる」ということであることを痛感させられる。
 また、これだけの楽器たちを維持されることは並大抵ではない。金銭的なリスクなどではなく、音に対する尊厳がなくてはできないことである。今、ここでこの音たちに出会えたことへの感謝の思いが溢れてくるのであった。


 「何故か厚見さんがベースを弾くユニットがあって、そこではぼくがキーボードなのです。」と言って川村さんがリハーサルに加わる。ご本人は「アマチュアのベース」と謙遜されるがアマチュアどころではない、ベーシスト顔負けのプレイである。そして、ベースを弾きながらも川村さんへのアドバイスを忘れない。川村さんと初めて出会ったときオルガンプレイの見事さに驚かされたものだったが、そこには厚見玲衣さんという偉大な存在があったのだ。厚見さんの派手なパフォーマンスも惹かれるが、ソフトな音形のロワーを擦り上げ、エッジの立ったアッパーでトップノートを掴むような小技は絶妙である。グリッサンドひとつさえ際立っている。これを間近で見てきたと思うと川村さんのプレイも納得できるものである。
 ライブ終了後に「あの素晴らしい先輩たちからは、いつもいつも刺激を受けています。ぼくが高校生で、一ファンだったころからずっとです。」と語られた川村さん。自身もトッププレイヤーとして活躍される中で、いつまでもゆるぎない目標を持てることの素晴らしさ。また、ゆるぎないロックサウンドを継承されていく師弟関係に心が洗われる思いでした。お二人のますますのご活躍をお祈りいたします。


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