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REPORT/生音爆裂! 70th ROCKは永久に不滅です。“ゴールデン・トリビュート・メイニアックスの奇蹟”2010/6/2

date
5月3・4・5日
place
新横浜 SUNPHONIX HALL in YOKOHAMA ARENA

※写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます。

 2010年のゴールデンウィークを豪華に彩ったのはロックキーボードの教祖、厚見玲衣さんだ。「70年代の音楽を70年代の音で」 というコンセプトのもとで運び込まれた機材はステージに収まるものではなく、客席フロアに配置されることとなった。そして、70年代の音楽と音(楽器)について厚見さん自らが解説をされるという、マニアにとってもビギナーにとっても十分に納得でき、満足のできる趣向だったのだ。


 ライブの模様を記述する前に紹介しておきたいのが、「厚見御物」の数々である。どれもこれもメンテナンスが行き届いていて、当時のサウンドをそのままに奏でてくれる楽器たちだ。センターにあるのはロックキーボーディストの象徴、HAMMOND C-3、Leslie147が2台つながれている。そして、Mellotron、Minimoogにも目を惹かれるが、何より珍しいのがC-3の上に置かれたリングモジュレーターである。日本で現存している2台のうち1台ということだ。



 厚見さんと対峙するように組み上げられたブースには川村ケンさんがスタンバイする。今回は厚見さんがベースを担当する場面もあり、愛弟子の川村さんがキーボーディストとして参加されているのだ。Porta B-3mk2の上にはWurlitzer、nordと高々と積み上げ、足元にはペダルシンセの、Taurus1が置かれている。背面にも川村さんお気に入りのKAWAI MP9000を土台としてMOTIF、Minimoogが積まれ、フロントにはMellotron とclavinet。まさに夢の要塞の出現である。



 また、Mellotronの背板が外されて内部が見えるところが実に嬉しい演出である。厚見さんのC-3のトーンホイールもそうであるが、メカニカルな原理の楽器は仕組みそのものが美しいものだ。そして、驚かされたのは厚見さんのお友達によって改造された一段鍵盤のハモンドオルガンだ。50〜60年代のB-3(C-3)をもとにして作られたこの楽器は小さなスペースにトーンホールや多列鍵盤などのハモンドオルガンの仕組みと製作者のロマンが詰め込まれている。



 ライブのオープニングを飾ったのはUFOのトリビュートバンド「宇宙征服」だった。田中メ皇帝モ宗治さんによってPorta B-3mk2のドローバーサウンドが堰を切ったように溢れ出る。今回接続しているLeslie147は川村さんが長年愛用されてきたもので、心地好く箱が鳴いてくれる逸品である。豊かなリーケージを含むPorta B-3mk2と組み合わせることで力強いオルガンサウンドが伝えられている。
 また、サウンドの力強さで群を抜いたのはTaurus1の地響きをするようなペダルトーンだった。上にかぶせたパイプオルガンのサンプリング音が空虚に思えるほど太い芯のある響きである。今更ではあるが、計り知れないサウンドのエネルギーを操ることで音楽を作り上げてきたキーボーディストたちへの畏怖の念を抱かされる。


 宇宙征服が残したハードロックの響きが冷めやまぬ中、メインステージはスタートした。まずは、厚見さんと川村さんのオルガンバトルである。極上のC-3に挑むPorta B-3mk2、オリジナルの持つサウンドをいかに再現するかという命題を背負う現代のハモンドオルガンにとって本望とも呼べる機会である。音源としての仕組みを持つものと持たないもの、ピアノとエレピのような違いがあるのかもしれない。
 しかし、そのような不安を感じさせることなく川村さんのオルガンプレイは厚見さんに迫っていく。コール&レスポンスが飛び交う中、川村さんの発するサウンドは厚見さんの残像を捕らえている。サウンドの奥行き、広がり、オリジナルに適わないのは当然であるが、ミュージシャンが魂を込めるオルガンサウンドとしては十二分に響いている。


厚見さんの派手なグリス


川村さんの派手なグリス



 3日間に渡り、レッド・ツェッペリン、J・ベック、フリー、マウンテン、グランド・ファンク・レイルロードと黄金の70年代ロックを蘇らせた厚見さん。カバーバンドは数多とあるだろうが、当時の音で再現できるのは彼以外にはいないだろう。今回は厚見さんに賛同したミュージシャンたちが彼同様に当時の楽器や機材を持ち込まれ参加されている。過去という言葉に置き去られることなく音楽は脈々と伝えられている。しかし、その真髄はその時代を生きた者にしか分からないことが多々ある。「もう二度とこのようなイベントはできないかもしれません。」と話された厚見さんの言葉はとても奥深いものであった。しかし、彼がこの3日間で伝えた音楽は多くの人たちの脳裏に残ったのは確かである。このような機会にPorta B-3mk2を加えていただいたことは感謝に絶えなく、多くのことを学ばせていただきました。

ご紹介
川村ケンさんのブログで時折登場している「緑ちゃん」こと、「思いどおりに作曲ができる本」(リットーミュージックより2月25日発売)。音楽の仕組みや約束事など、日頃分かっていることを説明しようとすると言葉に詰まることがありませんか。この本では楽典からキーボードの演奏法、作曲やアレンジ、はたまたシーケンスについてプロミュージシャンたちのワークスを分かりやすい視点で解説されています。特に音楽を料理にたとえた説明は川村さんならではのものです。基礎から勉強したい方も、すでに理解されている方も、どちらも楽しく読み進める一冊です。楽器店の書籍コーナーで緑の表紙を目にしたら一度手にとってご覧になってください。

思いどおりに作曲ができる本
思いどおりに作曲ができる本(CD2枚付き)
Q&A方式で音楽制作の実践テクニックをピンポイント解説!

■著者:川村ケン
■仕様:A5判/192ページ/CD2枚
■価格:2,100円(本体2,000円+税)
【CONTENTS】
■第1章 今さら質問できない音楽の基本がわかる!
■第2章 曲がスラスラできるようになる!
■第3章 アレンジが悩まず完成できる!
■第4章 演奏が驚くほど上手になる!
■第5章 すぐに使えるコード進行パターン集


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