ようこそテンホールズの素晴しい世界へ。

The 1st Step
ようこそテンホールズの素晴しい世界へ。

Contents
The 1st Step
音楽の中のテンホールズ
テンホールズの選びかた
Body Material
Key
単純な構造
配列の不思議
秘密

Easy Play 移調
Bending the Notes! ベンディング!
Making Chords 和音
Cross Position クロス・ポジション


The 2nd Step Ver.1
持ち方
単音を出す

Breath
Putting Mouth on a Hole
Shape of Mouth
Make a Sound
Long Tone
ベンディング
Bendin' DRAW Notes
Bendin' BLOW Notes
Major Scale Again

The 2nd Step Ver.2
クロス・ポジションによるスケール練習
Blue Note Scale
Minor Scale
Position Chart
エフェクト&テクニック
Vibrate
Trill
Fake
Octave Play
Straight Chord Play
Bump!


The 3rd Step
通常の手入れ
分解と組み立て
メンテナンス
The 1st Step
第1歩は、あなたが手にしているそのテンホールズとは一体どんな楽器なのかを紹介することから始めましょう。
■音楽の中のテンホールズ

1820〜30年頃にドイツで生まれたハーモニカは、民衆がフォーク・ソング(民謡)などを演奏して楽しむのに使われていました。それが、19世紀後半に移民とともにアメリカに渡り、以後主役となりました。特に当地の黒人たちが好んで演奏し、彼らはその演奏法においても様々な工夫を凝らしながらその楽器を自分たちの音楽、特にブルーズの象徴的な楽器にまで高めて行ったのです。現在のテンホールズの演奏法のほとんどが彼らが築き上げてきたものなのです。一方、同じアメリカの音楽、カントリー・ミュージックにおいてもテンホールズは頻繁に使われ、ブルーズと交錯しながらテクニックを発展させてきました。
現在では、上記のブルーズやカントリーはもちろん、それらをルーツに持つロックを始めとして、いわゆるフォークやポップスなど様々なジャンルの曲でも効果的に使われ、その音色を聴くことができます。
しかし、実は最もよくテンホールズの音色を耳にしているのは、コマーシャル映像などのBGMかもしれません。少し注意してみれば、印象的でさわやかなその音色が意外なほど多く使われていることに気がつくでしょう。このようにテンホールズの音色は身近な音楽の中に存在しています。

■テンホールズの選びかた

とりあえずは1本、是非手に入れることからはじめましょう。心配は要りません。わずか数千円で充分なクオリティーのモデルを購入することができるからです。テンホールズの魅力は、気軽に購入できるその低価格にもあります。では、最初はどんなものを購入すればいいのでしょうか。一口にテンホールズと言っても、材質の違いなどによって様々な種類が存在し、同じモデルでも多くの調(キー)が揃っていたりして、初心者にとってはどれを購入すべきか判断するのが難しいと思います。そこで、最もわかり易いボディーの材質とキーの違いによる選び方をここでは紹介しましょう。

Body Material

大別すると木製、プラスチック(樹脂)製、金属(アルミ等)製の3種類に分けられます。それぞれの特徴を簡単にあげてみましょう。 

1.木製;含みのある味わい深い音色。初心者は初めのうちはやや吹きづらいかもしれない。
 
2.樹脂製;素直でまろやかな音色。状態が安定していて吹き易い。

3.金属製;明るく透明感のある音色。よく響き、気持ちよく吹くことが可能。

以上のような特徴から、初心者はまず樹脂製か金属製ボディーのモデルから始めることを薦めます。特に樹脂製ボディーのモデルは、価格的にも比較的安いものが多く、入門用としては最適と言えます。樹脂製のもので練習をして、ある程度慣れたら他の材質のモデルを試してみるのも良いでしょう。ただし、音色や演奏性などは、必ずしもボディーの材質だけで決まるのではなく、リードやカバーなど、その他の構成パーツの材質や形状によっても大きく左右されます。徐々に様々なモデルを試してみて、自分に合ったモデルを見つけ、また演奏で求められる状況によって使い分けるのがベストです。  

Key 

テンホールズの一般的なモデルでは、普通1つのモデルで12 のメジャー・キーが揃っており、< G >が最も低く< F#>が最も高い音域となっています(スズキではLow F, High G を加えた14キー)。どのキーを選ぶかはどのキーの曲を演奏したいかによるわけで、単純に言えば12 のキー全てを持っていればどんなキーの曲でも演奏できるということになります。ただ、その中でも比較的頻繁に使われるのは C,D,F,G,A といったキーです。とりあえず1本というのならまずは< C > のキーを購入することを薦めます。音楽では基本となっているキーであり、ハーモニカの教則本では大体どれも、キー< C > のハーモニカを持っていることを前提に話が進められています。余裕があるなら、キー< C > に加えて使用頻度の高い上記のキーのうち幾つかを購入しておき、その後必要に応じて残りのキーを買い揃えていくのが良いでしょう。  

■単純な構造

それでは、あなたが手にしているテンホールズはどのような構造になっているのか、簡単に見てみることにしましょう。パーツ構成については分解と組み立てを参照してください。大きく分けて、本体(ボディー)、カバー、リードプレートという4種類のパーツで構成されています。ハーモニカは、リードプレートに取り付けられたリードという振動板(弁)が空気の流れによって振動することで発音する単純な構造の楽器です。テンホールズは、その名の通り、穴(吹口)が10個あるだけのコンパクトなハーモニカで、それぞれの穴には異なる音程に調律された2枚のリードが上下に1枚ずつ配列されているうえに、それら2枚のうちの1枚は吹いた時だけ振動し、もう1枚は吸った時だけ振動するようになっています。よって、1つの穴を吹くのと吸うのでは異なる音が2つ、ハーモニカ1本では20の音が出せることになります。音域も不完全ですが3オクターブをカバーしています。

■配列の不思議

では次に、3オクターブ、20の音が、テンホールズではどのように並べられているのか、その配列を見てみましょう。C 調の場合、配列は(図1)のようになっています。さらにこの構成音を、音程を距離で示す図に表わしてみました(図2)。2つの図を見てみると、次のような不思議に気づくでしょう。 


図1

※1目盛りが半音程を示します。数字は穴番号、○数字は吸音の穴番号です。
図2

1. 音域こそ3オクターブありますが、欠けている音がたくさんあります。


a. 基本的には「ドレミファソラシド」という長音階(メジャー・スケール)配列になっており、音階に含まれる音(スケール・ノート)以外の音は出なくなっています。

b. しかも、それだけでなく、第1・第3オクターブでは、音階に含まれるはずの音さえも幾つか欠けています。第1オクターブでは「ファ」「ラ」、第3オクターブでは「シ」が欠けています。

2. 吹く音は「ドミソ」の繰り返しで、それ以外の音は吸う音になっています。

3. 2番の吸音と3番の吹音が同じ「ソ」音になっています。

一体どうしてこのように特殊な配列になっているのでしょう。この3つのなぞが解けなければ、本当にテンホールズで曲を演奏できるのか心配になります。このなぞを解くには、テンホールズという楽器の隠された秘密(おもしろさ)を幾つか明らかにしなければならないのです。次のセクションで、それらの秘密を1つ1つ明らかにしながら、なぞ解きをしてみることにしましょう。

■秘密

Easy Play 移調

テンホールズは基本的にメジャー・スケールのスケール・ノート以外は出ません。例えばキー< C >で出る音は、C メジャー・スケールに含まれる「C・D・E・F・G・A・B」だけ。でも、メジャー曲のメロディーは大体メジャー・スケールに基づいているものなので、キー< C > のテンホールズでC 調の曲を演奏すればメロディーも簡単に演奏できるし、調子外れの音を出してしまう心配もなくてむしろ便利なのです。  

Bending the Notes ベンド(ベンディング)

ベンディングはその名の通り、口腔内の形を変化させることによって空気(息)の流れを変え(曲げ)、通常の状態でリードから発せられる音の高さを曲げ下げるテクニック。例えばキー< C >のハーモニカの場合、1番穴なら吸音< D >をベンドして< D♭ >を、3番穴なら吸音< B >をベンドして< B♭、A、A♭ >の3音を作り出せる。また、高音では逆に吹音の方をベンドして音を作ることができます。(図3)


図3

Making Chords 和音

ここでは、C調を例にテンホールズの幾つかの穴を吹いて、あるいは吸って得られるコードを示してみました。吹音側を見てみると、[■配列の不思議-2]のなぞのように、「ド・ミ・ソ」の繰り返しです。


図4

「ド・ミ・ソ」の組み合わせは、その調子におけるトニック・コード[ I ](主和音)です。C 調の場合は、Cメジャー・コードのこと。また、「ミ・ソ・ド」や「ソ・ド・ミ」も「ド・ミ・ソ」と並びの順番が違うだけの「転回形」であり、同じコードです。よって、どこを吹いても、複数の音を出しさえすれば常に主和音が得られます。機能としてのトニックは、曲における起承転結の「起結」にあたります。
一方吸音側に目を移すと、2・3・4番の穴には「ソ・シ・レ」が並んでいて、これらはその調子のドミナント・コード[ V ](属和音)です。C調の場合はGメジャー・コード。また、1・2・3番を吸っても属和音の転回形が得られます。さらに、2・3・4番に5番も加えると、「ソ・シ・レ・ファ」となり、ドミナント・セブンス・コード[ V7 ](属7和音)も得ることができます。C 調ではG7コード。ここで、[■配列の不思議-3]のなぞも解けるはずです。「ソ」は、主和音・属和音(あるいは属7和音)両方の構成音の1つとして必要なので、3番の吹音だけでなく、2番の吸音にも重複して配置されています。(機能としてのドミナントは、「転」にあたります)  
今度は吸音の4・5・6番を見てみると、「レ・ファ・ラ」という並びになっています。これは[ IIm ](C 調の場合はDm)コードであり、サブドミナント・コード[ IV ](下属和音)と同じ働きをします。(代理コードと呼ばれるもの)ちなみに、8・9・10番の吸音も同じコードだし、5・6番、9・10番の吸音「ファ・ラ」だけでも、充分にサブドミナントの役割を果たします。(機能としてのサブドミナントは「承」にあたる)

Cross Position クロス・ポジション

1st Position
曲と同じキーの楽器を使用。1番吹音が「ド」となる。メジャー・スケールが容易に得られ、フォークやポップスをはじめ大体のメジャー曲の演奏に適します。


2nd Position
曲のキーより完全4度上のキーを使用。2番吸音が「ド」になり、< C > の曲を< F >の楽器で、< C > の楽器で< G >の曲を。現在はほとんどがこのポジションによる演奏。ミ♭, ソ♭, シ♭の音が容易に得られ、ブルー・ノート・スケールで演奏するのに都合がいいのです。メジャーのブルーズに最適で、その他ロック、カントリーなど幅広く対応。 


3rd Position
曲のキーより長2度下のキーを使用。1番吸音が「ド」になり、< C > の曲を< B♭ >の楽器で、< C > の楽器で< D >の曲を。また、マイナー曲では曲のキーの同主調より長2度下のキーを使用。1番吸音を「ラ」と考え、< Cm > の曲を< B♭ >で、< C > で< Dm >の曲を。ブルー・ノート・スケールに加え、3種類のマイナー・スケール全てを演奏できるほか、[ Im6 ]コードが得られます。マイナー・ブルーズをはじめファンク、ジャズなどで独特の響きが生きます。  


Natural Minor Position
曲のキーの平行調と同じキーを使用。< Am > の曲を平行調の< C >の楽器で。1st positionと同じポジションのまま6番吸音「ラ」から始まるナチュラル・マイナー・スケール配列として考えます。一部のマイナー曲に適します。