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盤吹奏笛 andes25F(アンデス25F)
> アンデス逆インタビュー
アンデス復刻発売を記念して、栗コーダーカルテットの皆さんがアンデスの開発担当者にインタビューを試みました。
出席者
澤野喜之 (開発部アコースティック課課長 20年前の設計担当者)
成田賢哉 (開発部アコースティック課 復刻版設計担当者)
栗原正己、川口義之、近藤研二、関島岳郎(栗コーダーカルテット)
初代アンデス
復刻版アンデス
栗原:
今日は、あのアンデスの設計担当者にお話をうかがえるということで、非常に楽しみに浜松の鈴木楽器にやって来ました。
川口:
浜松は私の地元であります。
近藤:
お忙しいところを4人で押しかけてすみません。
関島:
えーと、お二人がアンデスを設計されたのですか?
澤野:
私がオリジナルのアンデスを設計した澤野です。そして、彼は今回の復刻にあたっての設計を担当をした成田です。よろしくお願いします。
成田:
よろしくお願いします。
栗原:
さて、何からうかがいましょうかね。
川口:
やっぱり、あれでしょう、どういう発想でこの楽器を思いついたか。
栗原:
まずはそれだよね。どこからこんな楽器を作ることを思いついたんですか?
澤野:
教育現場に新しい楽器を提供したいという気持ちがありましてね。
近藤:
ふむ、鈴木楽器は教育楽器専門のメーカーですからね。
澤野:
いろいろ試行錯誤しながら考えて、これだ、と。
関島:
なるほど、最初にアイデアありきでは無く、試行錯誤の積み重ねだと。
栗原:
ということは、その過程で闇に葬り去られた面白い楽器もあるのでは?
澤野:
もちろんありますよ。「えっ!これは何ですか?」と、皆さんが見ればビックリするようなものも多いと思いますね。
関島:
鈴木楽器はオムニコードとかmidiメロディオンとか面白い楽器を作っていますからねえ。
栗原:
でも、その筆頭はアンデスでしょうなあ。
川口:
ちなみに、アンデスの名前の由来は?
澤野:
音が南米のアンデス地方を彷彿させますので。
社長がこれはアンデスだろうと。
近藤:
え、社長さんの命名なんですか。
関島:
そういえばサンポーニャっぽい音でもありますね。
成田:
アンデスの後ろの25はkeyの数ですが、 今回の型番は25Fと末尾に『F』を付けました。
『F』は復刻のF、FスケールのF等色々な意味 合いを持たせています。
解かりづらいかもしれませんが…。
栗原:
社長さんの命名ということは、かなり力を入れて発売したということですよね。
その割に普及しなかった原因は何だと思いますか。
オムニコード
midiメロディオン
近藤:
おお、シビアな質問だ。
澤野:
やはりピッチコントロールの難しさでしょうかね…。
ピッチが不安定な楽器だけに、子供達には難しかったのかもしれません。
栗原:
確かに正確なピッチで演奏しようと思うと、息の圧力の繊細なコントロールが必要になりますからね。
関島:
ここに当時のカタログがありますが、確かにこれくらいの年頃だと音程を合わせるのがむずかしいかもしれませんね。
川口:
でも、そのピッチの不安定さがあの味につながっているんだけどなあ。
栗原:
アンデスは笛と同じで、強く吹けばピッチが上がり弱く吹けばピッチが下がるわけですよね。また、 それぞれの鍵盤に対応するパイプの長さによって音階を作っている、と。設計段階において、パイプ の長さを決める時の標準的な吹く強さは、どのように決定したのでしょう?
澤野:
まず教育現場に普及しているリコーダーを参考にしましたね。あと、自分の子供、まわりの社員の 子供に吹いてもらったりもしましたね。
近藤:
なるほど。
当時のカタログ
川口:
そうですか、実際に子供たちに吹いてもらって決めたということですね。少し戻りますが、今回復刻に至った経緯をお聞かせいただけますか。
澤野:
生産終了になってからもまれにですが問い合わせは受けていたんですよ。
栗原:
僕等もお客さんに結構自慢してたからね。
成田:
ええ、世間で栗コーダーさんの名前が知られていくのと同じカーブでアンデスに関する問い合わせも増えていきましてね。
近藤:
僕等にも「どこで手に入るのか」という質問がよくありますよ。
澤野:
ただ、以前のこともありますし二の足を踏んでいました。
関島:
ふむ、おそらく言いたくはないけれど、かつて教育現場からピッチが合せにくいと苦情があったのでしょうなあ。
成田:
しかし、メーカーとしてやはりお客さんの要望に答えたいとは強く思っていたので、復刻にふみきりました。
栗原、
川口、
近藤、
関島:
パチパチパチパチ
澤野:
いやあ、照れるなあ。
栗原:
しかし、復刻にあたって問題はありませんでしたか?
成田:
沢山ありましたね。プラスチック部品を成形する金型は廃棄処分寸前の状態で、錆びも出ていました。
川口:
ああ、間一髪だったんですね。
関島:
金型がなければ復刻できませんからね。
澤野:
あの錆びは、みんなで磨いたっけなあ。
成田:
そうですねえ。それに、昔と勝手が違うものですから上手くいかないことも多かったです。
当時の状況を覚えている人も少なくて…。
澤野:
組立の工程が意外と複雑なんですよ。ほとんど手作業でして。
成田:
社内の技術担当者の尽力により何とか再生産出来る状態にこぎつけることができました。
また、生産現場にも大いに協力してもらい、生産性を高めることができました。
近藤:
なるほど、いろいろな部門の協力で復刻にこぎつけられたと。
栗原:
復刻が決まってどんなお気持ちですか?
澤野:
時代は変わったものだなあと実感しますよね。
また皆さんに可愛がってもらえると思うと開発者冥利につきますよね。
川口:
成田さんから見て、先人の開発したアンデスという楽器はどんな楽器ですか?
成田:
やっぱり歴史に残る名器だと思います。本当に大好きです。
近藤:
なるほど。ちなみに今回の復刻にあたって改良した点はありますか?
成田:
鍵盤のストロークを少し浅くしました。こうすることで、グリッサンド等より滑らかに演奏 出来るかと思います。
栗原:
確かに演奏しやすくなっていると思いますよ。
成田:
あとは、カバー、鍵盤の色の配色をかえました。当時より少しだけ今風にしたつもりです。
少しだけですけど…。
関島:
なるほど。それにしても今回の復刻は僕等もとてもうれしいです。先日のツアーでも調子 に乗ってアンデスの四重奏をやってみました。
澤野:
栗コーダーさんのような使い方は開発当時は想定外だったのですが、栗コーダーさんから見てアンデスの魅力はどんなところにありますか?
栗原:
そうですね、あの音色であのニュアンスのフレーズが吹けること、グリッサンドやフェードインなどの効果音も得意、それに和音も出せることでしょうか。
近藤:
やっぱり吹奏楽器でありながら鍵盤というインターフェースを持つことが大きいと思うん ですよ。リコーダーとは違う発想でフレーズを考えられますから。
川口:
同じフレーズを演奏してもリコーダーとは違うしね。
関島:
デザインもいいですよね。
栗原:
それに荒っぽく使っても全然問題ないのも魅力だと思います。かなりタフな楽器ですね。
澤野:
子供が演奏しやすいことが重要でしたので、大きさや扱い易さ、それに安全面は重視しています。簡単で安心して使っていただきたかったんですね。
近藤:
大人の立場からすると、アンデス37とか、もっと鍵盤が多いものも欲しくなりますけどね。
澤野:
『もっと低音を出せると良いなあ』とよく言われますが、そうするとどんどん形も大きくなり、子供が持てなくなってしまいますから。
関島:
あらためて、アンデスが教育市場に向けて開発されたことを感じる話ですね。
川口:
僕等のまわりではプロの使用者が多いんですけどね。
成田:
どんな方が使用されているんですか?
栗原:
そうですね、バイオリン奏者の中西俊博さんとか…。僕は中西さんの演奏でアンデスの存在を知りました。
関島:
映画音楽で有名なめいなcoも昔から使っていますね。
澤野:
うれしいですねえ。
近藤:
今回復刻するにあたってのターゲットは、教育市場限定ではないのですよね。
成田:
そうですね、年令やジャンルを問わずにすべての音楽愛好家に使っていただけたらと思います。もちろん、元はといえば、「楽しく音楽を学べるように」と子供達の笑顔を想像して 作った楽器なので、教育現場でも使っていただけたらうれしいです。
栗原:
今回は緑色のみでの発売ですよね。今後、他の色も出る可能性はありますか?
成田:
色々な色があったら楽しいですよね。復刻版ということで、まずは一色で出してみましたが、お客さんの要望があればもちろんそれに答えていくつもりではいます。
栗原:
それはぜひ、期待しています。
川口:
ところで、アンデスに続く斬新な楽器の開発の予定はあるんですか?
澤野:
それは、何ともお答えできませんね。
成田:
新しい楽器のことはいつも考えている、とだけ言っておきましょうか。
関島:
む、何かありそうな…。とりあえず、そちらも期待しています。
近藤:
お、そろそろ時間ですね。
栗原:
今日はお忙しい中、ありがとうございました。
澤野:
いえいえ、こちらこそ、ありがとうございました。
成田:
ありがとうございました。
構成 関島岳郎
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