前述の通り、日本に初めてハーモニカが輸入されたのが明治24年とされています。そして国産ハーモニカの第一号は、明治43年に東京で完成しました。
昭和3年には、ここ浜松市でもハーモニカが作られるようになり、日本の一大生産拠点となりました。日本でハーモニカといえば複音ハーモニカのことで、欧米ではシングルハーモニカ(スライド式クロマチック、テンホール・ディアトニックハーモニカ等)を意味しています。
このように、世界各国でハーモニカの趣向にも違いが見られます。
日本のハーモニカは、三期のブームが到来する中、発展してきました。
第一期は、大正から昭和初期にかけて複音ハーモニカの名手が多く輩出し、学生を中心としたハーモニカバンドが隆盛した時期です。
第二期は戦後、器楽教育の振興に伴って教育用のシングルハーモニカが工夫されて大量生産された時期です。この頃がハーモニカの生産数がもっとも多かった時期と言えるでしょう。やがて、音楽教育の中心が、鍵盤ハーモニカ(メロディオン等)などの鍵盤楽器へと移行していきます。
第三期は、昭和52年から現在に至るものです。昭和52年は、ハーモニカ生誕150年にあたり、日本で《ハーモニカ150年祭》が盛大に開催されました。この時期に脚光を浴びたのは、クロマチックハーモニカとテンホールハーモニカ(テンホール・ダイアトニックハーモニカ)でした。
そして現在、これら三期のブームを体験してきたシニア層の複音ハーモニカ愛好者をはじめ、ジャズ、ブルース、ロック、フォークなどに触れた世代、そして若年層までテンホールハーモニカやクロマチックハーモニカの愛好家が増えています。
大正・昭和初期のハーモニカの楽譜
● バクダットの酋長 昭和9年7月発行
● ラブインアイドルネス 大正12年9月発行
● 小さな支那人 大正15年11月発行