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クロマチックハーモニカQ&A

クロマチックについての基本的なQ&Aをわかりやすくまとめました。
クロマチックってどんな楽器?きれいな音を出すにはどうしたらいいの?
このページを見ればすぐにわかります!音を聴きながらなので、よりよく理解できます。

ハーモニカを安全にご使用いただくために

 

質問について

 

 

1 クロマチックハーモニカってどんな楽器?

「クロマチックハーモニカ」とは、♯や♭といった派生音を出す事ができるハーモニカの事を言います。半音階を演奏できる事から、「クロマチック(Chromatic=半音階の)」という名前がついています。
派生音と幹音(ドレミファソラシド)とが上下に配列された「上下式」と、スライドレバーを押す事によって派生音を演奏できる「スライド式」があります。

 

現在では「スライド式」の方がポピュラーで、クラッシック、ジャズ、ポップスなど、様々な音楽ジャンルの中で使用されています。(試聴:mp3/1MB)
透き通った音色を持っていますが、吹き方によってその音色は大きく変化し、奏者の個性がとても良く出るハーモニカと言う事ができるでしょう。

 

このコーナーでは、スライド式クロマチックハーモニカ(以下クロマチックハーモニカ)について解説していきます。

 

 

2 クロマチックハーモニカの音配列について

音階表

※「音階配列表について」はこちらからご覧下さい。

 

 クロマチックハーモニカは、4つの穴で1オクターブの音域を演奏できます。
(下図参照)

  1 2 3 4
平常時 BLOW
DRAW ファ
レバーを
押した時
BLOW ド♯(レ♭) ミ♯(ファ) ソ♯(ラ♭) ド♯(レ♭)
DRAW レ♯(ミ♭) ファ♯(ソ♭) ラ♯(シ♭) シ♯(ド)

 
ボタンを押さずに吹くとドレミファソラシドを、またボタンを押して吹く事によってそれぞれの半音上の音を演奏する事ができます。(mp3形式:590KB)
次のオクターブはまた「ド」から始まり、全く同じ配列で並んでいます。
ピアノのように、オクターブが変わっても同じ配列なので、10ホールズや複音に比べると、とても分かりやすい音配列と言えるでしょう。

 

※ ただし最右穴の「シ」でレバーを押した時に限り、「シ♯(ド)」ではなく、「レ」の音が出ます。

 

 

3 バルブって何でついてるの?

バルブ

 

クロマチックハーモニカは、それぞれの穴の奥に、2つの部屋があり、各部屋に、吹くリード(部屋の内側)と吸うリード(部屋の外側)の2つが取り付けられています。

 

そのため、吹いた時には吸うリード側から、吸った時には吹くリード側から、息が漏れてしまいます。これを防ぐために、それぞれのリードの裏側に取り付けられているのがバルブです。

 

 吹いた時→内側のバルブが閉じ、吸うリード側から息が漏れるのを防ぎます。
 吸った時→外側のバルブが閉じ、吹くリード側から息が漏れるのを防ぎます。

 

※ちなみに、10ホールズも1部屋2音の構造ですが、バルブはついていません。
クロマチックはスライドレバー周辺の部品の構造上、もとから空気のロスがあるため、バルブが必要になるのです。

 

 

4 低音の吸い音がなりません。故障ではないですか?

 

まず、鼻からも息を同時に吸いながら、または顔を完全に上に向けのどが広がった状態で、出にくい音を吸ってみてください。この状態で音が鳴れば、故障ではありません。
クロマチックや10ホールズなどのシングル(単音)ハーモニカを初めて手にした方は、かなりの割合で、低音の吸い音が出なかったり、音が詰まったりしているように感じます。(mp3形式:272KB)これは音を鳴らすための空間が口の中に作られていないからです。
ハーモニカを吹くとき、奏者の口腔内もハーモニカと合わせて一つの楽器であるということが言えます。すべての音をきれいに発音させるには、口笛と同じように、それぞれの音にあった空間を作ってあげることが必要になるのです。低音域では、あくびをするときのようにのどを大きく広げた状態で吸うときれいに音が出ます。(mp3形式:340KB)
 とにかくたくさんハーモニカに触れ、練習を重ねることで、音に合った口腔内の空間を瞬時に作れるようになります。

 

動画による解説はこちら >>

 

 

5 スライド周辺の手入れについて

練習を重ねるうち、スライドレバーが動きにくくなる事があります。
スライドはとても小さな隙間を動いているので、練習によって付着した汚れなどによって、動きが悪くなってしまうのです。
そのため、クロマチックハーモニカは、定期的にスライド周辺の部品を取り外し、汚れを取り除く事が必要です。

 

※注意
汚れを取り、再び組み立てる時には、部品の位置、向きを間違えないようにしてください。分解する時に、部品に位置、向きなどが分かるようにマジック等で書き込んでおくと良いでしょう。(書いても支障のない場所に)
また、ビス、ゴムチューブなど、細かい部品がありますので、失くさないように注意しましょう。

 

 

6 しばらく吹いていると、音が出にくくなってくるのですが・・。

吹き始めは問題ないのだけれど、吹いているうちに音の出だしがちょっと詰まってきて、ごく弱い息では音が出なくなる事があります。
この時、少し強く吹くと「ップー」と、弾けるように音が出ます。(mp3形式:192KB)

 

これは、前述した「バルブ」が原因で起こる現象です。
ハーモニカはほとんどの部品が金属でできており、冷たくなりやすいので、ここに人間の暖かい空気が入り込むと、リードプレートとバルブとの接着面に水滴がついてしまい、バルブが張り付いてしまいます。
このため、吹いた時に開かなくてはいけないバルブがなかなか開かないので、このような現象が起きてしまうのです。

 

この現象を防ぐためには、ハーモニカを冷たくしない事が大事です。
演奏前に、ポケットに入れたり、常に触ったりして暖める事によって、プレートに水滴がつきにくくなります。

 

動画による解説はこちら >>

 

※ちなみに、吸う時にはこの現象は起きません。
吸う時に開く、内側のバルブは、暖かい空気が入ってくる時(吹く時)には常に閉じ、リードプレートと密着しているため、接着面に水滴がつかないのです。