複音ハーモニカについての基本的なQ&Aをわかりやすくまとめました。
複音ハーモニカってどんな楽器?きれいな音を出すにはどうしたらいいの?
このページを見ればすぐにわかります!音を聴きながらなので、よりよく理解できます。
「複音ハーモニカ」は、1つの音に2枚のリードを使用する事により、独特の美しい音色を出せるようにしたハーモニカです。
微妙に調律をずらした同じ音が上下2列に並んでおり、上下の穴を同時に吹く事で、「うなり」を発生させ、ビブラートがかかったような美しい音色を出す事が出来ます。
他のハーモニカには真似できない、郷愁を誘う音色が特徴です。
ベース奏法、マンドリン奏法など、特殊な奏法を使った独奏や、バスハーモニカやコードハーモニカを加えた、アンサンブルでの演奏に人気があります。
これが一般的な複音ハーモニカの音配列です。
一見、何だか複雑な配列に見えるかもしれませんが、吹く音だけ、吸う音だけをそれぞれ下から順番に見ていって下さい。
吹く音は「ドミソ」、吸う音は「レファラシ」が順番に並んでいる事がわかると思います。
このように、吹く音だけ、吸う音だけを見ると、音が規則的に並んではいるのですが、「ドミソ」は3つなのに対して、「レファラシ」が4つですから、オクターブが変わると吹く音と吸う音がずれてしまうわけです。
最初は音階が順番に並んでいる中音部で練習をして、段々と音域を広げ、低音部、高音部の音配列になれていくと良いでしょう。
複音ハーモニカは、基本的には一つの音階だけを吹くように出来ています。
そのため、曲の調子に合わせて、ハーモニカを持ち替える必要があり、色々なキーに対応できるように、色々な調子のハーモニカがあるのです。
複音ハーモニカの独奏では、和音を多用します。
通常のメジャー調のハーモニカでは、マイナーの和音が出せないので、マイナー調の曲を演奏する際、マイナーの和音を出せるように、和声的短音階を吹けるようにしたものが、マイナー調のハーモニカです。
ちなみに、マイナーハーモニカでは、主音(例:Amでは「ラ」の音)が吹く音になります。マイナー調の曲をメジャー調で吹くと、吸う音が多くなって大変ですが、マイナー調を使えば、吹く音が多くなるので(曲にもよりますが)、吸う音が苦手な方にとっては、楽に演奏する事が出来ます。
通常のマイナーハーモニカで使われている音階は、「ハーモニックマイナースケール(和声的短音階)」と呼ばれるもので、この音階を使う事により、マイナーキーの曲で良く使われる、マイナーの和音(吹音)、ディミニッシュの和音(吸音)を出す事が出来ます。(試聴:mp3/213KB)
マイナーの曲でベース奏法などを演奏する際、この和音がとてもよく合います。
・ハーモニックマイナースケール(「ラ」を主音とした場合)(試聴:mp3/382KB)
ラ シ ド レ ミ ファ ソ♯ ラ
例:赤い靴(通常のマイナーハーモニカ)(試聴:mp3/591KB)
でも、マイナーの曲には、マイナーハーモニカにはない「ソ (ナチュラル)」の音が必要になることが多くあります。その時、ナチュラルマイナースケール(自然的短音階)に調律されたハーモニカなら、「ソ」の音を出す事が出来ます。
ナチュラルマイナースケール
・ナチュラルマイナースケール(試聴:mp3/379KB)
ラ シ ド レ ミ ファ ソ ラ
ハーモニックマイナーとの違いは、「ソ♯」が、「ソ」になっていることです。
この「ソ」の音は、マイナーハーモニカの平行調のキー(Amの場合はC)を一緒に持てば出す事が出来ますが、ナチュラルマイナーを使えば、一本だけで吹けるのです。
例:小さい秋見つけた(ナチュラルマイナーハーモニカ)(試聴:mp3/1MB)
ただし、通常のマイナーと、出せる和音が変わってくるので、ベース奏法などで和音を使う時には、注意が必要です。
赤い靴を、ナチュラルマイナーで全く同じように吹くと、こうなってしまいます。
例:赤い靴(ナチュラルマイナーハーモニカ)(試聴:mp3/538KB)
「おんなのこ~」のところの和音が、何だか変な感じですよね?
派生音を出すために、基本の調子に対して、半音上(または下)の調子のハーモニカを重ね、二本同時に持って演奏するのが一般的なスタイルです。
複音ハーモニカは、1人だけで演奏する、独奏のスタイルがとてもポピュラーです。
独奏では、複音ハーモニカならではの、色々な奏法が使われます。
メロディを吹きながら、和音でリズムを刻むベース奏法、吹き方で色々な音色を出す、バイオリン奏法やマンドリン奏法、ピアノの左手のような伴奏を入れる分散和音奏法などなど…。
これらの奏法をマスターすれば、1人で演奏しているとは思えないような、色々な表現ができるのです!
ベース奏法 (試聴:mp3/232KB)
分散和音奏法 (試聴:mp3/268KB)
マンドリン奏法 (試聴:mp3/307KB)
バイオリン奏法 (試聴:mp3/339KB)
ベンド奏法 (試聴:mp3/351KB) 等
一番大事な事は、演奏前には必ず口をゆすぐ、または歯を磨き、できるだけハーモニカに汚れがつかないようにする事です。
また、演奏後は、吹き口を下にし、布の上でトントンと軽く叩いて唾液を抜きましょう。それでも、内部には多少唾液が残っています。すぐにケースにしまわず、しばらく外に出しておいてからしまうと良いでしょう。
汚れないように気をつけていても、どうしても汚れがついてしまうものです。
内部の汚れは、分解しないとなかなか落とせません。
複音ハーモニカの上下には同じ音が並んでいますが、片側は、決められた基準に沿って調律されていて、それに対しもう片側は、少しだけ高く調律されています。
この音程差によって、トレモロをつけています。
演奏、練習により、リードの音の高さはどうしても変化します。出荷時にはバランスの取れていた音程差も、次第に変わり、トレモロの数も変わる事があるでしょう。
トレモロのバランスが気になってきた時や、演奏会の前などには、
調律、トレモロ調整をするとより良い演奏になるでしょう。
メーカーでも修理・調整を行っておりますのでご購入されたお店にご相談ください。