レスリー122(以降L122)とレスリー147(以降L147)のおもな違い3ヶ所、
1.オルガンとの接続端子
2.真空管アンプの回路
3.スロー/ファーストを切り替える回路
の中で、今回はオルガンとの接続端子について、詳しく見ていきましょう。
外観上、何ら違いのないL122とL147ですが、オルガンとの接続端子も、外観上は全く同じ形状(それもそのはず同じ部品です)の6ピンの端子が使われています。
L122の接続端子部
L147の接続端子部
このように間違え易い2機種なのに、なんと6ピンの各端子の役割が異なっているのです。
まず、各端子の働きを下表(レスリー6ピン機能表)でご覧下さい。
ピン番号 | L147 | L122 |
---|---|---|
(1)ピン | SIGNAL GND | SIGNAL INPUT (BALANCED) |
(2)ピン | SPEED CONTROL | AC SIGNAL/DC GND |
(3)ピン | AC POWER INPUT | AC POWER INPUT |
(4)ピン | AC POWER INPUT | AC POWER INPUT |
(5)ピン | SPEED CONTROL | AC 300V DC OUTPUT |
(6)ピン | SIGNAL INPUT (UNBALANCED) | SIGNAL INPUT (BALANCED) |
レスリー6ピン 機能表
もっとも特徴的なことは、L122には、オルガンの音がバランス接続で入力されること。そして、スロー/ファースト回転の切り替えをするコントロール信号の専用端子が無いことです。
L122には、プロ用音響機器では必須といえるバランス接続の信号伝送方式が採用されています。これにより、ノイズの少ない高品質なサウンドが実現できているのです。
オルガンとレスリーを接続するための6ピンケーブルには、シールドが施されていません。ノイズの発生源である電源線が同じケーブル内部を平行に走るという非常に不利な条件でありながらも、超低ノイズを誇っているL122の秘密の一つがこのバランス接続の入力端子と言えるでしょう。
では、2種類の専用ケーブルをご覧ください。
L147の場合は、6ピン-6ピンケーブルを使います。
L122の場合、B-3やC-3と接続する場合には、オルガン側の接続端子が5ピンである場合がほとんどですので、このような5ピン-6ピンケーブルを使用します。
しかし、L122には、必ず5ピン-6ピンケーブルを使うかというと、そうでもなく、オルガンに組み込んであるコネクターキットによって、L147と同じ6ピン-6ピンケーブルが使用されています。
6ピン-6ピンケーブル
5ピン-6ピンケーブル
それでは、6ピンのコネクターをよくご覧ください。
6個のピンの内、上側の2本のピンだけが若干太くなっているのが分かりますか?
ピンを間違って接続することの無い様に、隣合わせの(1)ピンと(6)ピンの2本だけを他の(2)ピンから(5)ピンよりも太くしているのです。
よく見ると、の先にある(1)ピンと(6)ピンの間に丸ポチョマークが見えますか?
この丸ポチョマークは、その右隣が(1)ピンということを示しているのです。
ケーブル側のコネクターにも丸ポチョマークがありますので、マーク同士が合うように接続すればOKというわけです。
その反対側が(3)ピンと(4)ピンで、L122、L147ともに電源の供給線となっています。
音声信号の接続には、バランスとアンバランスの2種類の接続方法があります。
ホット、コールド、アースの3本の線で機器どうしを接続する場合にバランス接続といい、マイクロフォンコードによく見られます。コネクターは金属製のしっかりした
物が多く、いかにもプロ機器という感じがします。
この接続方法の特長はノイズに強いということです。ホットとコールドの2本の信号線に同じように飛び込んだノイズは、アンプの入力部分で打ち消される仕組みになっています。この結果、まるでノイズが入り込まなかったかのようにノイズの少ないサウンドを得ることが出来る接続方法です。
写真はよく見かけるマイクロフォンの接続部分で、バランス接続の代表的な形です。
もう一つ、注目したいところはL122の(5)ピン 310V DC OUTです。
これは、L122が(5)ピンから約310ボルトの直流電圧を出力しているのです。
L147にはこの機能はありません、というよりも必要がないのです。
では、証拠と言うわけではありませんが、取扱説明書に入っているL122の回路図の一部をご覧下さい。
この約310ボルトは10Kオームの抵抗を介して出力されていますので、ショートした場合には電流は約3ミリアンペアが流れることになります。誤って感電してしまった場合、実際には人体にも抵抗がありますので、もう少し、流れる電流は少なくなります。
感電事故では、人体に5ミリアンペア以上流れると痙攣を起こし、接触状態から離れるのが困難になると言われていますので、3ミリアンペアは十分に怖い電流です。
この話を何故ここで?というと、絶対に専門知識のある技術員以外の人が、レスリーのアンプを修理、改造してはならないということをお知らせするためです。
機器に不備が無い場合には、感電の危険はありませんが、興味本位や十分な知識なしにアンプに手を加えることの無い様にお願いします。
アンプ内部には、もっと高い400ボルト以上の電圧も使われているのです。
えー、310ボルトも出しているの!?と思ってしまいますが、実はこの電圧を使ってローターのスロー/ファーストの回転を切り替えるコントロール信号が作られているのです。
次回は真空管アンプについてお話したいと思います。