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ハモンド・レスリーのしくみ

ハモンドオルガンが引き出す音の秘密

開発者ローレンス・ハモンドの横顔

hm_06ローレンス・ハモンドは、1895年アメリカ・イリノイ州の生まれ。子どもの頃から発明に才能を見せ、わずか14才で自動車のトランスミッションの自動化をフランスのルノー社に提案したというのですから驚きです。大学卒業後も、シンクロナス・モーターや立体映画装置、電気時計などを次々に開発。やがて、当時教会でしか使用されていなかったパイプオルガンが劇場でも演奏されるようになり、この電気化の研究をスタートさせました。この開発は大変困難なもので、例えば発明家ケイヒルの作った電気オルガンなどは、発電所ほどの規模のものでした。しかし、ハモンドは日夜研究を重ねた結果、「磁場で動く金属が電流を作りだす」という原理の応用に自ら開発したシンクロナス・モーターを使い、さらに音色を豊かにするためにドローバーを組み込んで、1934年、画期的なオルガンを完成させたのです。この画期的な発明は、当時産業界全体に大きな反響を呼び、自動車王ヘンリー・フォードがその技術と音色に魅せられて1号機から6号機までを購入したというエピソードも残っています。

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ハモンドオルガンとレスリー

hm_07レスリースピーカーは1940年にロサンゼルスのドン・レスリーによって開発販売されました。それ以来レスリースピーカーはハモンドオルガンには無くてはならないものとなっていくのです。スピーカーを回転させることによって生じる周期的なうねりやドップラー効果によるビブラートの響きは、もともと教会のパイプオルガンの代わりとして広まったハモンドオルガンに、大聖堂のパイプオルガンの響きのような荘厳な音の広がりを持たせることとなり、ハモンドオルガンとレスリースピーカーは切っても切れないものとなりました。

ハモンドオルガンとトーンホイール

トーンホイール方式の内部構造ハモンドオルガンを特長づけているもののひとつはなんといってもオルガンの音色です。その暖かく揺らぎのある音色は「トーンホイール」と呼ばれる発音原理によるものです。ハモンドオルガンの音色は91組の「トーンホイール」とコイルによって生じています。「トーンホイール」は金属の歯車で、ホイールが回転することにより磁界が発生しコイルとの電磁誘導によって正弦波が生じます。これをプリアンプで増幅して、ハモンドサウンドが作られるのです。機械的な要素の多い「トーンホイール」を用いたハモンドオルガンは、そのため、アナログオルガンとも言われ、人の五感を刺激し続けています。その中でも特にハモンドオルガン「B-3」は、最高傑作であり、オルガンの代名詞とされ、今もなお世界中の音楽シーンで活躍しています。1960年代後半より、家庭にも徐々にオルガンが普及しだすと、重量のある「B-3」に代表されるトーンホイールオルガンは敬遠されだし、一般的な電子オルガンが広まり1974年を最後に、生産を終了してしまいます。しかし、プロユーザーを中心に世界中に広まった「B-3」とそのサウンドは、重量やコストの問題から生産が終了した今もなお、アメリカを中心に活躍しています。しかしながら、完全な状態の「B-3」は、本場アメリカですらなかなか見ることができなくなっているといわれています。そのような状況の中2002年「new B-3」が登場します。それまでも、「B-3」サウンドをデジタル化し、似た音を出すオルガンはありましたが「B-3」に置き換わるオルガンはありませんでした。「new B-3」は最新のデジタルテクノロジーで忠実にトーンホイールサウンドを再現し、鍵盤には「B-3」の重要な要素であるキータッチとキークリックノイズを完璧に再現するため、「B-3」と同じメカニカル接点を用いた多列接点鍵盤を復活させることにより音色、操作、外観のすべての点で完璧に「B-3」を再現することに成功しました。こうして誕生した「new B-3」は世界中のプレーヤーから賞賛を受け、約30年ぶりにオルガンの歴史が大きく動くことになりました

 

ドローバーとは?

hm_02ハモンドオルガンの中央部もしくは左側には、何本かの棒が並んでいます。これらがドローバーと呼ばれるもので(トーンバーとも呼ばれます)ハモンドオルガンには必ず付いています。
ドローバーは英語で「Drawbar」と書きます。直訳すると「Draw(引き出す)+bar(棒)」です。ドローバーは前後に動くようになっていて、その名の通り、手前に引き出したり、奥へ押し込んだりして、オルガンの音色を変化させるのに使います。引き出す分量と複数のドローバーによる組み合わせで、約2億5千3百万種類もの音色を創り出すことができます。

 

ドローバーと鍵盤
hm_03ドローバーをすべて押し込んだ状態にしておきます。「ド」の鍵盤を押したまま、16’のドローバーを引き出し音を出します。その後ドローバーを押し込んでください。8’のドローバーでも同じことをします。同じ「ド」の音ですが、1オクターブ違いの音が出ていました。これはドローバーに記してある数字が半分になると1オクターブ高い音が出るということです。

倍音とは?

倍音という言葉は聞き慣れませんが、これに関しては既にギリシャ時代のピタゴラスが解明しています。「音楽」は割り切れませんが、物理的な「音」は数学的に説明できます。ギターの「ハーモニクス奏法」は鳴っている弦の半分のところなどを軽く触れて「倍音」を出す奏法です。実際にアコースティックピアノを使って実験してみましょう。

中央の「ド」より1オクターブ低い「ド」の鍵盤を音を出さないようにゆっくり押し、音が出ないそのままの状態で、さらに1オクターブ下の「ド」を強く弾きます。

少ししてから下の「ド」から手を離してみましょう。音を出さずに押し下げていた「ド」が鳴っているのに気が付いたでしょうか?

低い「ド」には1オクターブ上の「ド」が含まれているのです。更に1オクターブ上の「ソ」、2オクターブ上の「ド、ミ、ソ」3オクターブ上の「ド」も含まれています。まだたくさんの高い音が響いています。これらが「倍音」で、下から基音(聴こえる高さの音)、第2倍音、第3倍音…と呼ばれています。一つの鍵盤しか弾いていませんが、実際にはこのようにたくさんの音が微妙に混ざってピアノの豊かな音が構成されているのです。

自然の音は、この「倍音」を含んでいます。倍音をたくさん含んだ楽器(トランペット、バイオリンなど)の音は華やかに聞こえ、あまり含んでない楽器(フルートなど)の音はさらっと聞こえます。この自然の音に含まれる「倍音」を電気的に作ろうというのがハモンドオルガンのドローバーです。

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ドローバーの組み合わせ

ドローバーは倍音の性質ごとに色がついています。「8フィート律」の倍音の中で基音とオクターブ関係になるドローバーは「白」、「8フィート律」の倍音の中で分数が付いたのものは「黒」、「16フィート律」の倍音2本は「茶色」です。倍音をたくさん混ぜるとだんだん華やかな音になってきます。ドローバーの組み合わせは大きく下の4つに分けることが出来ます。

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クラリネットやサックスなどの管楽器のような音色   パイプオルガンのようなソフトな音色
 
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チェロやバイオリンなどの弦楽器の
ような音色
  フルートなどの柔らかい音を持つ管楽器のような音色

 

ドローバーサウンドの魅力

ハモンドオルガンでしか創れない音、ドローバーサウンド。ハモンドオルガンのドローバーが創り出す音は、「らしい」音と言えます。例えばフルートに近い音を創ることはできますが、それは「フルートらしい」音だということです。現在、多くの電子オルガン、電子キーボードにはより生楽器に近い、リアルな音色が多数搭載されています。このような時代にあって、ハモンドはなぜドローバーにこだわっているのでしょうか。それは、ドローバーから創り出されたこの「らしい」音は逆にハモンドオルガンでしか創れない音、つまりハモンドオルガンの個性だからです。ドローバーが創り出すこの音に魅了されたミュージシャンは多く、特にジャズやブルースの世界では一流のミュージシャンたちに、もっとも愛され続けているオルガンと言えます。ドローバーを自分で引き出し音を創り出す、というアナログ的な方法は、電子楽器でありながら、アコースティックであるという不思議な魅力を持っています。そして、アコースティックであるが故の難しさ、奥深さ、そして面白さが弾く者の創造力をかき立てて止まないのです。

 

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hm_13レスリースピーカーとは

レスリースピーカーは1940年にロサンゼルスのドン・レスリーによって開発販売されたロータリースピーカーです。内蔵された「ローター」と呼ばれる音の出口が物理的に回転することによってドップラー効果を生み、独特な揺らぎを伴ったサウンドを発生させます。その個性的な音色はジャズやロックなどに留まらない、様々なミュージシャンに愛されることで、ハモンドオルガンと共に無くてはならない物となりました。

 

レスリースピーカーの構造

一般的にレスリースピーカーにはアンプと2つのローター、高音担当の「ホーンローター」と、低音担当の「ドラムローター」が内蔵されており、各ローターにはスピーカーと速度可変のモーターが付いています。低音担当のドラムローター側をシミュレーター化することで、大幅にコンパクト化したモデル2101mk2,2103mk2もございます。
また、2101mk2,2103mk2はローターだけでなく、一般の固定スピーカーも備え、切り替えて使用できます。ローターに音声を送る回線を「ロータリーチャンネル」、固定スピーカーに音声を送る回線を「ステーショナリーチャンネル」と呼びます。

 

ずばり!ハモンド

ハモンドオルガンとレスリースピーカーに関する素朴でマニアックな疑問を解明するコーナーです。

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