ブラスカバー仕様のグレゴア・マレ シグネチャーモデルです。
音量があり明るく力強いアグレッシブな音色が特長。ブラス(真鍮)にダークブルーの特殊鍍金をほどこした独特のカラーリングのカバーは、その音色と相まってクールな印象を与える特徴的なデザインです。この特殊鍍金は、耐久性・衛生面においても優れています。
グレゴア氏が一貫して求めていた音へのこだわり、それが「ダークサウンド(深みのある音色)」でした。
さらにその音色を細分化する2種類の異なるカバー、材質や色、配列など、グレゴア氏から数々の提案がなされ、
それらを製品にフィードバック。そしてここにG-48、G-48Wが誕生しました。
細部にまでグレゴア氏のエスプリを感じられるモデルです。
音域 | 12穴48音 c1~d4 スライド式クロマチック |
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材質 | 真鍮+特殊鍍金カバー ABS+真鍮ウェート入ボディ |
スライドアクション | ロングストローク(クロス配列) |
寸法 | 158×45×31mm |
重量 | 341g |
付属品 | ABSケース |
グレコア氏は”GAIA”として今年の3月に来日し、コットンクラブでライブを行いました。その貴重なライブ映像をご覧ください。
Gregoire Maret Interview グレゴア氏にハーモニカや音楽への思いからシグネチャーモデル開発の経緯まで語っていただきました。
パット・メセニー・グループ、マーカス・ミラー・バンドの一員であり、昨年にはハービー・ハンコックと共にツアー。その他多数のビッグアーティストと共演するなど、世界で最も注目されているクロマチック奏者のグレゴア・マレ氏にクロマチックハーモニカへの思いやシグネチャーモデルについて話を伺った。
16歳の誕生日に両親がクロマチックハーモニカをプレゼントしてくれました。それ以前はダイアトニックハーモニカしか吹いたことがありませんでした。高校一年が終わったころ、専攻を音楽に変えてから半ば強制的にクロマチックハーモニカを吹き始めることになりました。学校ではダイアトニックを吹くことが許されなかったのです。この時点で、クラッシック音楽を勉強するとともに他の学生とスタンダードジャズを演奏し始めました。それからはクロマッチックだけを吹いています。
大きな影響を受けたミュージシャンはたくさんいます。ハーモニカプレイヤーでいうならまず トゥーツ・シールマンズ とスティービーワンダーです。他にもルイ・アームストロング、デューク・エリントン、レスター・ヤング、チャーリー・パーカー、ケニー・ガレット、ス ティーブ・コウルマン、パット・メセニー、ライル・メイズなどまだ他にもいます。とりわけ、大きな影響を受けたミュージシャンと言えばマイルス・デイビス、ジョン・コルトレーン、ウェイン・ショーター、ハービー・ハンコックの4人でしょう。
クロマチックハーモニカは声のような音色を持つ点でユニークな楽器です。他の楽器ではできない表現ができます。どんな音楽の設定にもフィットする楽器でありながら、十分に開拓されてはいない。だから可能性や新しい発見がまだたくさんあるはずです。
・共演する際心がけていることはどんなことですか?
・特に印象深かったことは?
私はマジックと呼んでいるのですが、聴衆だけでなくバンドスタンドのみんなを包み込む世界を毎晩創り出す彼らの能力にいつも感動しています。
かなり独特でありながら、どんな状況にも適応し、どんなスタイルの音楽にもぴったり合わせることができる能力こそ、私が求められる主な理由だと思います。
・機種の違いについて(木製カバー・金属カバー)教えてください。
・それぞれの音の特徴、使いたい音楽シーン(ジャンル等)
完璧で両方とも思いどおりの音がでています。
木製カバーはよりメロウな音がします。ある種のバラードやゆったりした感じの音楽にはぴったりなよりメロウでダークな音色がでます。金属カバーは明るく力強いアグレッシブな音色で、より音量があります。
どのモデルも音楽の特別なスタイルやジャンルに合っているというわけではなく、あなたがどんな音の種類や密度、ボリュームを求めているかによります。いつも私がジャズバンドで演奏するとき、ボーカルがいる場合は木製カバーを使います。ポップ、ロック、ファンクバンドで演奏するなら音が大きいので金属カバーを使います。
・そういったオリジナルなアイデアはどこから生まれるのですか?
・なにかインスピレーションを受けるものがあるのですか?
世界各地の音楽をたくさん聞き、いつも新しい音を見つけ刺激を受けている。いつも同じことを繰り返しやるのは嫌いで自分の楽器で新しいこと、新しい音を見つけようとしている。
何も考えない瞬間に身をおき演奏したいと思っている。音色、音符、コード、色合いを全て受けいれ、何かをつけ足してキャンバスがもっと良くならないかを考えています。わたしの音楽作りの発想は完全に精神的な世界とつながっている。とても内面的な話になってしまうのですが…
この質問の答えとして、あるストーリーをお話しさせていただきたいです。
それは、私が日本でPat Metheny Groupとツアーを行っていたときのことです。そのツアー中、初めてスズキチームに会い、浜松の本社へ招かれました。 そこでは、幾つかのハーモニカを試用し、意見を求められたので、私はどの点が良くて、どの点に改善が必要か説明しました。
そしてその日の夜、私はスズキモデルを使ってコンサートを行いました。
その後すぐ、私たちはもう一度会い、更なる改善の仕方をアドバイスしました。そして、その翌日、私仕様に完全に修正された新しいハーモニカがスズキから届いたのです。これが私たちの長い関係の始まりでした。
スズキの最も素晴らしい点は、最初から、私の意見を熱心に聞いてくれたことで、後に私の好みにまさしく合った新しいモデルを2つデザインすることが決定するまでに至ったのです。その両方が私のシグネチャーモデルとなりました。最終的な製品ができるまでに3年くらいかかりましたが、私がいままで吹いた中で最高のクロマチックハーモニカであると言えます。重すぎず、軽すぎず握った感じもとてもいいです。より吹き易いように丸いマウスピースです。リードプレートとリードは思いどおりの音が出るように設計されています。両方とも大きい音が出るようクロスチューニングになっています。さらに、スズキのリードは長持ちすることで知られ、その質を確信できるような別のストーリーがあります。
ハービー・ハンコックとのツアーに出かける前に、私のシグネチャーモデルとちょうど同じプロトタイプが2つ届きました。私がそのリリースに最終的に同意するかどうか確認するためです。私の演奏を知っている人はコンサートでどんなに激しい使い方をするか知っていると思いますが、通常3週間で再調律が必要となります。1週間に4回から6回のショーをやるツアー中にこれだけを使っていたのに、調律はまだ合っていました。今までにこんな体験をしたことがなく、完全に圧倒されました。設計に3年もかかった理由は完璧をめざしたからに他なりません。
ハーモニカ共同体にとって本当にいいものを完成させたというお互いの共感を得るまで、技術者は研究を止めることはありませんでした。私の知っている限り、スズキは最高のハーモニカメーカーであり、2つのシグネチャーモデルを愛用しています。
この楽器を試してみようと思う人はいい意味で驚くことでしょう。わたしのシグネチャーモデルを本当に誇りに思っています。それは私の音楽的なニーズを全て満たし何の障害もないどころか、いつも、できる限りいい演奏をするために利点がたくさんあります。それはあなたも同じだと思います。