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10ホールハーモニカQ&A

ー軽やかな吹き心地・音色を目指した、もう1つのMANJIシリーズ「マンジスカイ」が仲間入りしました!ー

 

10ホールハーモニカについての基本的なQ&Aをわかりやすくまとめました。10ホールハーモニカってどんな楽器?ベンドって何?このページを見ればすぐにわかります!音を聴きながらなので、よりよく理解できます。
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ハーモニカを安全にご使用いただくために

 

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質問内容について

 

 

1 10ホールハーモニカってどんな楽器?

1820年代、ドイツで発明され製造が始まったハーモニカ。約180年の歴史の中で、音の配列や構造の違う、さまざまな種類のハーモニカが生まれてきました。その中で世界的にもっともポピュラーなハーモニカが10ホールハーモニカと言えます。他の楽器に比べてとてもシンプルで手軽でありながら、非常に高い表現力をもつこの楽器は、ブルース、フォーク、カントリー&ウエスタン、ロックなど、様々なジャンルの中で使用されてきました。
誰もが一度はその音を耳にしたことのある10ホールハーモニカ(mp3形式:3MB)ですが、その配列や奏法など、初めて手にされる方にはちょっと不思議に感じられる、ユニークな特長があります。

 

 

2 10ホールハーモニカの音配列ってどうなっているの?

10ホールハーモニカはその名の通り、10個の穴を持つハーモニカ。1つの穴で吹いて、吸って、2つの音が出ます。10×2=20個の音を出すことができ、こんなに小さくても3オクターブの音域をカバーしています。

 

配列表

 

10ホールハーモニカの音配列(mp3形式:1MB)は「ドレミファソラシド」の長音階からできています。そして1つとても大きな特長があります。
それは、第1オクターブ目が、曲の中で多く使用される、1度と5度のコード(和音)を吹くことのできる配列になっているということ。例えばKey=Cの場合、第1オクターブ(1,2,3番穴)を一緒に吹くと「ドミソ=C」、吸うと「レソシ=G」の和音が出る(mp3形式:198KB)ようになっています。
10ホールハーモニカを大きな口でガバっとくわえて、適当に吹き吸いしてみましょう。それだけでなんとなく音楽になってしまうように聞こえませんか?これはこの配列のおかげなのです。
ただ、和音を出すことができるかわりに、第1オクターブ目には「ファ」と「ラ」がありません。「この音はあきらめてしまうの?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。ベンド奏法と呼ばれる、10ホールハーモニカ独特の奏法を使うと、「ファ」も「ラ」も出すことができる(mp3形式:337KB)のです。

 

 

 

3 10ホールハーモニカのキーはどうやって選ぶの?

10ホールハーモニカには12のキーが揃っています。どのようにしてキーを選んだら良いのでしょうか?
初めて10ホールハーモニカを手にされる方で、特に吹きたい曲が決まっていない方には、C調がおすすめです。教室、教本などでも、最初にC調を使用することが多いようです。
もし、演奏したい曲が決まっているのなら、その曲に合わせてキーを選ぶのですが、曲と違うキーのハーモニカを選ぶこともあります。どのような演奏をするかによって、ハーモニカの選び方も変わってくるのです。
1つのハーモニカで色々なキーを演奏する奏法を、ポジション奏法といいますが、そのうち、広く使われている2つのポジションについて説明します。
※ 以下はあくまで例であり、他の選び方をすることもあります。

 

 

こんな時は、1stポジション→曲と同じキーを選びましょう。
澄んだきれいな音色も10ホールハーモニカの大きな魅力です。ハンドカバービブラートなどを使えば、シンプルなメロディーもとても美しく表現できます。
ホルダーを使った弾き語りなどをする時は、ガバっとくわえて、曲のリズムに合わせて適当に吹き吸いするだけでも、味のある演奏ができてしまいます。

 

ブルースやロックで、カッコいいアドリブをとりたい!(mp3形式:1MB)
「ポップスやスタンダードを、ブルージーな表現で歌い上げたい!」

 

こんな時は、2ndポジション→曲に対して4度上のキー(下記表参照)を選びましょう。
これはブルース、カントリーミュージックなどの中で、とても広く演奏されてきたスタイルです。ベンド、ビブラートなどのテクニックを覚えて、このキーで演奏することにより、10ホールハーモニカならではの、ブルースフィーリング溢れるプレイが可能です。

 

曲のキー C D D E E F F G A A B B




1st
(mp3形式:743KB)
C D D E E F F G A A B B
2nd
(mp3形式:673KB)
F F G A A B B C D D E E

 

マイナーの曲には3rdポジション、ナチュラルマイナーポジションが多く使われます。

曲のキー Cm Dm Dm Em Em Fm Fm Gm Am Am Bm Bm




3rd
(mp3形式:443KB)
B B C D D E E F F G A A
ナチュラルマイナー
(mp3形式:552KB)
E E F F G A A B B C D D

 

【各ポジションの特徴】

1stポジション ・・・ ストレートでフォーキー
2ndポジション ・・・ とにかくブルージー
3rdポジション ・・・ ちょっとクールなマイナー系
ナチュラルマイナーポジション ・・・ スタンダードなマイナー系

 

 

4 低音の吸い音がつまったみたいで出にくいんだけど…。故障?

まず、鼻からも息を同時に吸いながら、または顔を完全に上に向けのどが広がった状態で、出にくい音を吸ってみてください。この状態で音が鳴れば、故障ではありません。
10ホールハーモニカやクロマチックなどのシングル(単音)ハーモニカを初めて手にした方は、かなりの割合で、低音の吸い音が出なかったり、音が詰まっているように感じます。(mp3形式:392KB)これは音を鳴らすための空間が口の中に作られていないからです。
ハーモニカを吹くとき、奏者の口腔内もハーモニカと合わせて一つの楽器であるということが言えます。すべての音をきれいに発音させるには、口笛と同じように、それぞれの音にあった空間を作ってあげることが必要になるのです。低音域では、あくびをするときのようにのどを大きく広げた状態で吸うときれいに音が出ます。(mp3形式:385KB)
とにかくたくさんハーモニカに触れ、練習を重ねることで、音に合った口腔内の空間を瞬時に作れるようになります。 

 

 

5 ベンド奏法って何?

ベンド奏法とは、口の中で舌やのどを動かして、音をむりやり下げてしまう奏法です。少し難しいテクニックですが、この奏法を習得することで、もともと10ホールハーモニカには無い音が出せたり、ブルージーな表現ができるようになります。
とにかく舌やのど、あごを色々と動かして、音が変化するポイントを見つけてください。そこがベンド奏法への入り口です!

 

【ベンドができる音】

10ホールハーモニカでは一つの穴につき、吹き吸いで二つの音が出ますが、ベンド奏法により、この二音の間の音を出すことができます。(mp3形式:1MB)(ドとレならレ♭、ミとソならファ、ファ♯)
また、ベンドをかけられるのは、この二音のうち高い方です。つまり、1~6番穴までは吸い音で、7~10番穴では吹き音でベンドをかけられます。

 

 

6 7thチューニング、カントリーチューニングって何?

10ホールハーモニカでは、曲から見て4度上のキーのハーモニカを使用する(=ハーモニカから見て、5度上のキーの曲を演奏する)事がよくあります。
(これを「2ndポジション」と言います。)
この事により、曲と同じキーのハーモニカでは出せない、「ブルーノート」が得られ、10ホールハーモニカならではのブルージーなフレイジングが可能になるのです。

この場合、移動ドで考えると、通常の「ソ」の音が「ド」に変わります。

 

 ↓曲と同じキーのハーモニカで吹く場合

穴番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
吹く
吸う ファ ファ

 

5度上の音(ソ)が、主音(ド)になるので、

yajirusi2

穴番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
吹く ファ ファ ファ ファ
吸う シ♭ シ♭

 

このようになります。

 

この時、シが、シ♭(♭7th)になってしまいます。

 

レギュラーチューニング(C調)で、2番穴のドからスケールを吹いた時の音(mp3形式:76KB)

 

♭7thは、ブルーノートであり、ブルージーなフレイズにはとても重要な音です。
ですが、カントリー、ポップス、ジャズなどのメロディを演奏するとき、「シ」の音( ♮ 7th)も非常に多く出てきます。

 

2ndポジションのフィーリングで、このような曲を演奏する事を可能にするため、この5番穴と、9番穴の吸い音を、調律で半音上げ、2ndポジションにおける「 ♮ 7th」を出せるようにチューニングされたものが、プレイヤーの中で広まりました。
これが、「7thチューニング」と呼ばれるものです。

 

実音で表記するとこのようになります。

穴番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
吹く
吸う ファ# ファ#

 

 

 ・ 7thチューニング(C調)で、2番吸い音からスケールを吹いた時の音 (mp3形式:262KB)

 

ちなみに、7thチューニングでも、5番穴ではベンドをする事により、♭7thの音を出す事が出来ます。
(ベンドでは、同じ穴の吹き吸いの、間の音を出す事が出来る。)

 

また9番穴では、実はレギュラーチューニングでも、吹音をベンドする事で ♮ 7thの音を出す事ができ、カントリーチューニングにすると♭7thが出せなくなってしまうので、9番穴はそのままで、5番穴だけを調律する方も多くいます。

 

この5番穴の吸い音だけを半音高く調律したチューニングを、「カントリーチューニング」と呼びます。

 

最後に、カントリーチューニングのハーモニカで吹いた曲を聴いてください。楽譜もあります。
ちなみに、曲はG調、使用ハーモニカはC調の7thチューニングです。
(カントリーチューニングでも吹けます。)

 

「主人は冷たき土の中に」

 お手本(mp3形式:907K)

 伴奏(mp3形式:907KB)

 楽譜(PDF形式:20.4KB)

 

 

7 マイナーチューニングって何? ハーモニックマイナー、ナチュラルマイナーについて

10ホールハーモニカの音階は、基本的には長音階(メジャースケール)ですが、
短音階(マイナースケール)を使用したものを、マイナーチューニングと呼びます。

 

このスケールを使う事によって、トニックマイナーの和音が出せるので、短調の曲で、和音を多用するようなプレイに使用される事があります。

 

短音階にはいくつか種類がありますが、主に使用されるのは以下の二つです。

 

 

和声的短音階(ハーモニックマイナースケール)

 長音階に対して、3度、6度の音が半音下がった音階です。
 トニックマイナーに加え、ドミナント7thの和音も出す事が出来ます。
 複音ハーモニカの「マイナーキー」は、この音階が使われています。

 

穴番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
吹く
吸う ソ# ファ ソ# ファ

 

「荒城の月」

 お手本(mp3形式:1MB)

 楽譜(PDF形式:26KB)

 

 

自然的短音階(ナチュラルマイナースケール)

 長音階に対して、3度、6度、7度が半音下がった音階です。
 メロディの中で、短7度「ソ」が必要な時は、こちらの音階が使われます。

 

穴番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
吹く
吸う ファ ファ

 ※主音を「ラ」としています。

 

「砂山」

 お手本(mp3形式:1MB)

 伴奏(mp3形式:1MB)

 楽譜(PDF形式:20KB)

 

 

8 オーバーブローアップって何?どうやるの?

ハーモニカで、吹き方を変える事により音を下げる事を、ベンドといいます。
 例:4番穴レのベンド(mp3形式:124KB)

 

それに対し、吹き方を変える事で音を上げる事を、オーバーブローアップといいます。
 例:4番穴ドのオーバーブローアップ(mp3形式:86KB)

 

このテクニックを使うと、ベンドでも出せない音を出すことが出来ます。

 

簡単に言うと、吹いて吸う側のリードを、または吸って吹く側のリードを鳴らして、通常より高い音を出してしまうというテクニックです。

 

例えば、4番穴は、吹くと「ド」、吸うと「レ」ですね。
オーバーブローアップは、吹いて「レ」のリードを無理やり鳴らしてしまうのです。
そうすると、大体「レ」の半音上(レ♯=ミ♭)付近の音を出す事が出来ます。

 

ベンドとは逆で、同じ穴の2音のうち、低い方の音でオーバーブローアップがかけられます。
(1番~6番穴では吹音、7番~10番では吸音)

 

 以下に、オーバーブローアップで出せる音を示しました。

穴番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
吹く
吸う ファ ファ
オーバー
ブローアップ
レ# ソ# レ# ファ# ラ# ド# ファ ソ# ド#
  吹いてかける 吸ってかける

 

 

ベンドとオーバーブローアップを組み合わせる事によって、12音全ての音を出す事が可能です。
 例:中音域の半音階(mp3形式:142KB)

 

ただ、オーバーブローアップは安定した音を出すのがとても難しいので、短い音や、経過音的に使われる事が多いテクニックです。
また、ハーモニカの気密性能(部品の精度、組み立て精度不足)が低かったり、リードのアゲミをつけすぎていたりすると、うまくオーバーブローアップできません。
ハーモニカの状態にも大きく左右されるテクニックといえます。

 

「オーバーブローアップを使った演奏例1」

 お手本(mp3形式:691KB)

 伴奏(mp3形式:691KB)

 楽譜(PDF形式:38KB)

 

「オーバーブローアップを使った演奏例2」

 お手本(mp3形式:685KB)

 伴奏(mp3形式:685KB)

 楽譜(PDF形式:36KB)

 

 

オーバーブローアップのやり方

オーバーブローの感覚をつかむためには、ハーモニカのカバーを取った状態で練習するのが効果的です。

最初は6番穴くらいがやりやすいでしょう。

まず、カバーを取った状態で、6番穴をくわえ、吹く側(上側)のリードの穴を指でふさいでしまいます。この時点で普通に吹くと、当然何も音が出ませんね。

ここで、吹き音ベンドをするような気持で、吹き方(舌の位置、口の中の容積など)を変えていきます。そうすると、「ラ」のリードが鳴りだすポイントがあるはずです。(ラより少し高い音が鳴ります。)
このポイントを頑張って見つけましょう。

穴をふさいで吸い側のリードを吹いて鳴らす事が出来るようになったら、今度は穴をふさがずに鳴らせるように練習をします。まず吹き側の音が止まり、そして吸う側のリードが鳴りだすポイントを見つけましょう!

 

※スズキMR-300(オーバードライブ)は、各音の息の出入り口が独立しており、それぞれを指で塞ぐ事により、オーバーブローアップをしやすくしたモデルです。
そのため、カバーを外さなくても、上記のような練習をすることが出来ます。

 

スズキ10ホールハーモニカ・スタンダードモデル紹介動画

2023年12月更新!今回は新たなもう一つのスタンダードモデル「マンジスカイ」が仲間入りしました!私にピッタリの1つは…?スズキの5モデルから音色や特長を比べてみてくださいね♪

ご紹介の5モデル:MANJI M-20/MANJI SKY M-20S/OLIVE C-20/HARP MASTER MR-200/HAMMOND HA-20